玄秀盛が語るこれからの社会課題とは?(前半)【日本駆け込み寺】

日本駆け込み寺代表の玄秀盛氏本サイトでもご紹介している「一般社団法人日本駆け込み寺」には、日々様々な問題を抱えた人たちがやってくる。平成14年に困った人の相談を受け付ける「NPO法人 日本ソーシャル・マイノリティ協会」(通称・新宿歌舞伎町駆け込み寺)が設立され、昨年7月からは「一般社団法人日本駆け込み寺」として運営をスタート。オフィスを新宿歌舞伎町に構え、家庭内暴力、家出、金銭トラブルなどをはじめとした、あらゆる内容の相談に答えた。ここは全国から悩みを抱えた人たちが押し寄せる、まさに「現代版の駆け込み寺」である。今までにこの場所を訪ねた人は2万人にも及び、代表の玄秀盛(※1)氏は今、新宿歌舞伎町の父として慕われる存在となっている。
昨年12月には玄氏の壮絶な人生を綴った著書「愛と命と魂と」が発売され、同時期にテレビドラマ「愛・命 ~新宿歌舞伎町駆け込み寺~」(テレビ朝日系列)が放送。社会課題に正面から向き合い、目の前で起きている事柄を解決に結び付ける、玄氏の幅広い活動が話題を呼んでいる。
CANPAN NEWSでは同団体の代表、玄秀盛氏に独占インタビューを果たし、今の気持ちや想いを語ってもらった。

Q玄さんはこの活動を始められてから今までに、およそ2万人の人たちの相談にのられてきた訳ですが、駆け込み寺の役割を教えてください。

駆け込み寺に相談に来る人には共通点があります。それは「人間が来る」ということ。人間が人間を求めてくる。駆け込み寺は縁切り寺といってもいいでしょう。問題を解決することによって、過去との縁を切ってあげるのが私たちの役目で、そこから自分の人生を未来につなげていくのは相談者自身、つまり"あなた"。
例えるならば、荒海でおぼれている人を、飛び込んで助けることはできる。しかしそのあとの体を温めてあげるというケアについては、ボランティアや世の中に任せています。駆け込み寺はあくまでも「荒海に飛び込んで助ける」に徹しています。

Qどんな相談ごとが多いのでしょう。

相談内容は様々ですが、夫婦関係、離婚問題は多いですね。「夫婦」これほど不可解な関係はありません。これだけは誰にも計算できない。その因縁をどう断ち切るかが重要であり、大変難しい。夫婦の問題を解決する具体的な方法として、手紙でのやりとりを勧めています。例えばDVが原因で別居している場合、自分が仲介することで、互いに住所を知らせずに済む。そして手紙の書き方指導をする。そのやり取りは、長い人では5年くらいかかることもあります。

警察や法律でも対応出来ないことがあります。警察・法律が全ての正義のルールではなく、もう1つのルールがある。見えないものを見せていくというのが私のルール。ゆっくり話を聞き、暴力に立ち向かうのではなく、愛をもって抱きしめるのでもなく、ひるまずにすべてを受け入れる。それは私にしかできない。相談はだいたい15分で終わります。

Q実際に相談が終わっても、当事者がその状況を受け入れる、その問題が解決するまでには時間を要しますよね。

自立するまでのプロセスは人それぞれ。ある時はその人の灯台守になり、ある時はライフセーバーになる。そこに駆け込み寺があることが大切なんです。

相談といっても、自転車に無意識に乗る感覚と同じ。体で覚えていく。人の相談に乗る時は無意識の感覚ですね。先入観はゼロ。へんな経験は全くいらない。

よく経験でものを言う人がいいますが、それは自信がないからだと私は考えます。自分の役には立つけれど人の役には立たない。それでは自己満足の答えしか出ない。かえって経験がない方がものが言いやすいという時があります。ただ知識はもちろん必要です。相談に対して答えを出すときの予備知識として、最低限の知識は必要なこと。自分の中のコンピューターにざっくりと入れておくのが大事なことだと思っています。

Q玄さんは相談をどのように聞くのでしょうか、具体的に教えてください。

まず黙って聞くようにしています。身内のように愛することが大切です。これが相談の原点ですね。
耳を傾けるときには肉親の気持ちで、与える答えは他人の気持ちで。だからこの駆け込み寺は誰にでもできることです。悩みを聞いているうちに、体が慣れてくる。そこから自分の概念をはずしていって何が残るか。残るのは人間そのものです。そうすると、「この人を救いたい、なんとかしてあげたい」という気持ちが自然と生まれてくるわけです。

玄秀盛さんへのインタビューは後半につづきます。

※1 玄秀盛
げん・ひでもり
1956年、大阪市西成区生まれ。両親の離婚などで、4人の母、4人の父のもとで育つ。中学卒業後、建設、不動産、調査業など様々な会社を設立する。また、33歳で酒井大阿闍梨のもとで得度するなど、特異で壮絶な人生を過ごしてきた。
2000年、白血病をおこす可能性があるウイルスの感染者と判明。それを機に過去と決別し、2002年、悩み苦しむ人々を救済するNPO法人日本ソーシャル・マイノリティ協会(通称・新宿歌舞伎町駆け込み寺)を設立。以来、9年の間に2万人弱の人々の問題を解決してきた。2011年7月からは、一般社団法人日本駆け込み寺として運営している。
著書は「愛と命と魂と 生きてこそすべて 新宿歌舞伎町駆け込み寺」(KKロングセラーズ)、「生きろ」(メディアファクトリー)ほか多数。全国各地で講演活動も行なっている。

一般社団法人日本駆け込み寺への支援はこちらから。クレジットカードからでも寄付をすることができます。

(取材日 2011年11月22日 東京都新宿区)

(2012年1月23日 09:00)
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