自分の畑で野菜をつくりたい 山元町で草取りボランティア【ロシナンテス】

山元町で草取りボランティアを行なう様子 震災から半年経った9月中旬。CANPAN NEWS取材班は宮城県名取市に拠点を構えるNPO法人ロシナンテスの活動に密着した。ロシナンテスはアフリカ・スーダンで医療活動をする団体だが、震災直後の3月14日から名取市の避難所で巡回診療を行い、医療活動や学習支援「寺子屋閖上」、閖上とスーダンの交流を図るイベント「閖上・スーダン大運動会」など、地域に密着した活動を続けている。

この日は山元町の民家で草取りのお手伝いをするということで、同行させてもらった。

宮城県亘理郡山元町。山元町は宮城県の中で最も南の福島県との県境に位置し、仙台からは車でおよそ一時間半、海岸沿いからすぐの場所に位置する。山元町の人口は震災前にはおよそ16600人。地震が発生した一時間後に襲ってきた大津波により死者は614人(遺体未発見の死亡届16人を含む)行方不明者4人(死亡届提出16人を除く)と、大きな被害を受けた地域だ。家は倒壊し畑は流された。住民は現在仮設住宅やアパートに暮らすなど倒壊した住まいとは別の場所で生活を送っている。

一行は車に長靴や草刈り用スコップ、軍手、タオルなどの荷物を乗せ、名取市から車を走らせた。

山元町のある民家を訪ねる。少しずつ瓦礫の撤去は進んでいるもの、津波の被害を受けた家は、水や土砂が流れ込み、窓や外壁は削られて建物は倒壊。震災が起きた半年前のまま残っている。作業の依頼があった場所へ着くと、そこには麦わら帽子にタオルをかけ、上下作業着を着て少々腰をかがめた、見た目70代半ばくらいの女性がいた。最高気温32度。蒸し返すような暑さの中「草取りをお願いしたい」という依頼だった。女性は現在仮設住宅に住み、その場所から被災した自分の家までお弁当をもって瓦礫の撤去や草取り作業をしに通っている。サンサンと照りつける太陽の下、さっそく長靴をはき、スコップを持って草取り作業に取り掛かる。
 
草は、成人の背で膝から太ももの高さまで生い茂り、泥水をかぶったことにより重みが増して、根が深い。高齢の女性一人では到底できない作業である。取材に同行したCANPAN NEWS取材班もこの作業を手伝ったが、腰をかがめると鼻に着く独特の腐敗した匂い、草を手でむしり取りスコップで土を掘り、根っこから引き抜く。土の中からは次々に出てくる瓦礫・・・半年前の悲しみが思い出される。

「ここで野菜を作りたいんだよ。一人じゃ草取りが終わらなくってね。」

そういいながら笑顔で作業を続けるこの女性。今は避難所から仮設住宅に移り、自分で買い物に行きその日に食べる分をこしらえ生活をしている。

「野菜が店でこんなに高いことに驚いたよ。」

山元町で自分の家に住み、自分が食べる野菜は自分の畑でつくるという生活をずっと送っていたこの女性。野菜を商店で買うという経験が今までほぼなかったのである。

「いつまで生きるかわからないんだけれどさ、またここで野菜を作りたくってね、だから草取りをお願いしたの。しかしさあ、息子はぜんぜん手伝ってくれやしない。」女性がそう言うと、

「いいんですよ。できる人がやればいい作業なんですから。息子さんには息子さんのやるべきことがある。」

ロシナンテスの川原氏はいう。

「息子は福岡なんだけれど、一体何しているんだか。」

女性がそういうと、

「僕は北九州ですよ、近いですね。まあ息子みたいなもんですよ。」

会話は弾む。初めて会った人とでも話しすぐに打ち解けあう。川原氏はこういう力を持ち合わせた人なのだ。

タオルで噴き出る汗をぬぐいながら草取りの作業は黙々と続く。

「そろそろ休憩にしましょうか。」ロシナンテスのスタッフの一人が言う。一人づつスコップを地面に置き、作業を止めた。倒壊した部屋の一部に上がらせていただき、スタッフみんなで輪になり冷たいお茶や作ってきたおにぎり、カップ麺をすする。

「これ、よかったらどうぞ。」その女性は腰をかがめながら、自分が作ってきたゆで卵とおにぎりを持ってきてくれる。

「ありがとうございます。」まだほんのりとあたたかいそのおにぎりはのりが巻いてあり、中には刻まれたきゅうりの柴漬けが入っている。温かい、やさしい味。

食事の時は全員そろって輪をつくり、たわいもない話をする。その時間をとても大切にしていることが見て伺える。

CANPAN NEWS取材班は、別の場所での取材を控えていたため食事をすませ別の場所に移動したが、ロシナンテス一行は昼食後も日が暮れるまで草取りの作業をし、山元町を後にした。

彼らは活動拠点の名取に戻ってからも一日労働した疲れを癒す暇もなく、洗濯や自分たちの食事作り、翌日に向けた準備やミーティングなどやることは山積みだ。

震災から半年が経っても土の中には半年前の悲しみが残っている。様々なニーズに柔軟に対応し継続して活動をしていくこと。ロシナンテスの支援活動は多方面に渡っている。

追記

今回のボランティア依頼について

山元町の社会福祉協議会に70代女性からのボランティア依頼があった。その依頼をロシナンテスが受け、撤去作業の対応。もとは「庭の瓦礫の撤去をお願いしたい」という申し出だったが、その作業を終え、再度女性から「次は畑で野菜を作りたいので草取りをお願いしたい。」と直接の依頼を受けた。ロシナンテスは、被災者たちのメンタルな部分をサポートするという意味でもNPOだからこそできる支援の形であると、今回は特別に依頼を受ける運びとなった。

※山元町での草取りの様子はこちらから。写真と一緒にお楽しみください。

(取材日 2011年9月13日 宮城県亘理郡山元町)

(2011年9月23日 11:00)
From CANPAN NEWS
東北地方太平洋沖地震支援基金

CANPANプロジェクト

日本財団

CANPANレポート