学生ボランティアが真心こめた被災物品を販売【Bizvo】

真心を込めて被災物品を販売する様子 東日本大震災から半年を経て、被災地・被災者支援の取り組みも、さまざまな方面への広がりが見られるようになってきた。
 日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)と協定を結んだ嘉悦大学では、7月末からビジネスボランティア(Bizvo)のプロジェクトをスタート。学生ボランティアが「商店の復興」に向けた取り組みを始めた。
 前半戦の舞台となったのは、石巻市で被災した缶詰会社、(株)木の屋石巻水産である。主な作業は、津波のため土砂に埋もれたおよそ100万個に及ぶサバ水煮などの缶詰を掘り起こし、中身に支障がない商品を清掃して出荷準備を行うこと。一方、破損した缶詰は、内容物と缶に分別する作業が必要だが、大量のウジが発生しているものも多く、気が遠くなるような悪臭の中での作業だったという。
 参加した学生の代表、小峯雅智さん(経営経済学部3年)は「テレビで見る光景とはあまりに違う」と、感想を述べる。

 缶詰清掃作業は二日間だったが、その他港湾での作業などもあり、現地での滞在は1週間に及んだ。その間、仲間同士で話し合うことも多く、お互いの理解も深まり「絆」が生まれたように感じた...と小峯さん。帰京後は「やってもやっても作業は果てしない」「とにかく人手が足りなくて困っている」ことを、友人たちに伝えて回ったという。
 そしておよそ一ヵ月後の8月末から、百貨店様や駅ナカの一角を借りて生産者のこだわりと想いを伝えながら直接お客様へ提供することを推進する、(株)生産者のれん会に協力を依頼。ボランティアに参加した学生を含む30名による、清掃した缶詰のほか被災地の産品を実際に店頭で販売する活動が都内近郊で始まった。各地のスーパー銭湯を中心とした店舗や、地域の祭りなどに出店し、消費者への対面販売を行うというものだ。
 小峯さんは、極楽湯・横浜芹が谷店を担当。「年配の女性が多かったですが、お買い上げいただいたのは私たちの思いに賛同してくれた方、あるいは友人や知り合いが被災地にいるという方、どちらかのパターンでした」と話す。

 木の屋の缶詰のエピソードは、あちこちで報道されていることもあり「ああ、これ」と感想を漏らす人も多かった。「初めてこの缶詰のことを知ったという方には、私たちが実際に現地に行って、缶詰を洗ってきたんです...と話すと、共感してもらえました。また、お買い上げいただいた方が『とっても美味しかったから』ともう一度、買いに来てくださったのも、とても嬉しかった」(小峯さん)
 ビジネスボランティア、という意味合いでも「サバ缶一つを売ることに対して、自分たちがボランティアで被災地に行った経験やストーリーを話すことが売上につながる」(小峯さん)という体験ができ、得るところが大きかったようだ。
 およそ2週間に渡る販売期間で、売上はおよそ440万円。経費を除いた約270万円を被災商店に届けた。販売の取り組みはこの後も断続的に行われており、9月17日に品川区で行われた「中延ねぶた祭り」に出店した際は日刊スポーツ紙に取り上げられた。

 どんなにストーリーをもっている商品でも、味が今イチでは仕方がない。だが、木の屋のサバ缶は、脂ノリのいい「金華サバ」を使い、漁獲された当日に調理加工して缶に詰めるだけに味は抜群、「作り手の皆さんの思いがたっぷり詰まっています」(小峯さん)。
 そんな思いに答えようと、学生たちも懸命に売るから、売上も伸びる。木の屋石巻水産を始め、出品した被災地の企業各社からは、感謝の言葉が寄せられた。
「小さな工場ですが、商品に対する情熱だけは強く、おいしい商品、おもしろい商品づくりに励んできました。その缶詰たちが津波にのまれ(中略)一度は廃棄も考えた缶詰が、これほどまで助けることができたこと、それに勝る生きる希望はありません」(木の屋石巻水産・木村さん)
 今回のプロジェクトを通じ、学生たちは改めて「人と人との心のつながり」というビジネスの基本を学んだことだろう。

(取材日 2011年9月9日 東京都小平市)

(2011年9月20日 13:30)
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