さらなる質の向上を目指す「美しい村々」【「日本で最も美しい村」連合】

美瑛町の美しい景色(2009.6月編集長撮影) 小さな自治体が力を合わせ、付加価値を高めていこうとする緩やかな連合体、「日本で最も美しい村」連合。それぞれの村は様々な問題を抱えつつ、苦悩しながら、それでも「美しさ」を武器に前へ進んでいこうとする。

 CANPAN NEWS初年度の2009年、編集長が出かけた最初の北海道取材ツアーで、じっくりレポートした「日本で最も美しい村」連合。当時、美瑛町でお話を伺った町役場の森中麻友さんが、2010年4月から町の東京事務所勤務となり、同時に「美しい村」連合の窓口を務めることになった。
「東京で一年を過ごし、『美しい村』の仕事も続けてきてわかったのは『人のつながり』の重要性です。実際にお目にかかって、つながりができると、そこから可能性が広がっていろいろなことができるようになりました」
「その一方で、『「日本で最も美しい村」連合です』とお話しすると、面白いですね...と、強く反応してくださる方が多い。うれしい反面、まだまだ知られてないんだな、とちょっとガッカリすることもありますね(笑)」
 今年で設立7年目を迎えた「美しい村」連合。加盟町村は当初の7から、現在では39を数えるまでになった。

「数は増えましたが、やはりアピールしたい都市部での知名度は低い。発信力は、むしろ当初より弱まっているように思います。これが『「美しい村」連合』なんだ、という、明確な活動をしていく時期に来ているのでは...」
 森中さんの住む美瑛は「丘のまち」として全国的に有名だし、美しい木の葉を料理の「つまもの」として出荷している徳島県上勝町、合掌造りで名高い岐阜県白川村など、先進的な取り組みで知られる地域も多い。個々の町村のキャラクターはしっかりしているので、「ヨコのつながり」を生かし「日本で最も美しい村」連合としてさらなる一歩を踏み出すことが、いま、求められているというわけだ。
「加盟町村は、どこも自分たちの『地域』への愛着がとても強い。行政の都合で、合併せざるを得ない町村もあります。もちろんプラスもありますが、小さな村は合併で埋没してしまう。『連合』への加盟は、地域の文化を残したい気持ちの現れなんです」

 「日本で最も美しい村」連合が、これからの活動で目指しているのは、やはり東京など大都市からの観光客誘致だ。森中さんが考えているのは、それぞれの地域特性を生かした「ヘルスツーリズム(*1)」の確立である。
「ちゃんと採算のとれる、魅力のあるツアーを、町村サイドが主体となって計画していく。そして、外からやってくるお客さんを増やしていく仕組みを考えていかないと...」
 旅行代理店との連携も視野にある。それでも、目の肥えた代理店のバイヤーや利用客のニーズに応じられる、リーズナブルでありながら付加価値の高いツアーを、町村サイドできちんと提案できなければダメなのだ。それでこそ「美しい村」の看板も生きる。町村自体の努力も求められているのだ。
「連合に加盟するには審査(*2)があります。それも入ったら終わりではなく、5年目ごとに再審査を受けなければなりません。自治体だけでなく、住民の意識の高さも必要です」

 連合は、順調な歩みを続けてきた。2010年には「世界で最も美しい村」連合会(*3)に正式に加入。今後はアジアにも広げ、相互交流を図っていきたいと、夢は広がる。

 一方、各地で頻発する天災で、被害をこうむる町村が出てきている。1月に起きた新燃岳の噴火では宮崎県高原町に避難勧告が出された。そして東日本大震災の福島第一原発事故。当初、加盟町村に目立った被害はなく、ホッとしたのもつかの間、原発事故によ
り計画的避難区域に指定された区域に、連合メンバーである「飯舘村」が含まれていた(*4)。
 中央から離れているからこそ、残された美しさ。しかしそれは苛酷な自然環境や、原子力発電所などのリスクと隣り合わせの地域が多い、ということの裏返しでもある。
 連合の進む道は、決して平坦ではない。それでも一歩ずつ、前へ行くしかない。間違いなくそこにある、「美しい」暮らしの風景を次の世代に伝えていくために...。

(*1)ヘルスツーリズム...大ざっぱに言えば「健康増進に役立つ旅行」。このページに詳しい説明があります。
(*2)加盟の条件は、このページに。
(*3)世界で最も美しい村連合会に正式加盟しているのは、日本のほか、フランス、イタリア、ベルギー、カナダ。
(*4)連合では飯舘村救援活動に取り組んでいる。詳細はこちら

(取材日 2011年2月8日 東京虎ノ門)

(2011年7月14日 13:00)
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