人と自然に優しいジュエリーブランド【HASUNA】

HASUNA代表の白木夏子氏 最近、主にファッション業界で聞かれるようになった「エシカル」というキーワード。先日、東北関東太平洋沖地震の復興支援を目的としたチャリティーリング"絆"を発売したことをお伝えした株式会社HASUNA(東京港区)も、人や社会、自然環境に優しい素材を使った「エシカルジュエリー」を販売するジュエリーブランドだ。

代表取締役の白木夏子さんが社会問題に目を向けるきっかけは、18歳の頃に参加したフォトジャーナリスト・桜井和馬さんの講演会。飢餓や貧困、森林破壊などの話や写真に衝撃を受けたという。
「将来何をしたらいいか迷っていたときでした。でも、世界にはこんなに困っている人がいるということを知って、どうせ仕事するのなら、利益ばかり考えずに、苦しんでいる人や助けを求めている人のために、私の力を使いたいと思いました」

 短大卒業後は開発学を勉強するためにイギリス留学した彼女は、その1年目の夏に、貧困の現実を確かめるために、インドの南部・タミル・ナードゥ州のある村を訪問し、2ヶ月間の共同生活を経験する。その村に住むのは「アウトカースト」「アンタッチャブル」などと呼ばれる、ヒンドゥー教の世界において、最も差別されている人々だった。
「滞在中、農業奴隷として過酷な生活をしている人達や、牛を育てて生計を立てている人達などと暮らしました。でもショックだったのは鉱山労働者の集落での体験です」
その鉱山で掘られていたものは、日本人のごく身近にある大理石やジュエリーの材料である鉱物。そこで働く労働者たちはみな一様にガリガリに痩せ、子どもたちまでもが数十キロはある重い石を運ばされていたという。

「彼らは作物の育たない汚染された土地に住み、風呂もトイレもないという生活でした。それでも子どもたちが外でワイワイ遊ぶような、楽しそうに暮らす村もありましたが、そこの村はみんな暗い表情をしていて...。果たして私に何かできることがあるのだろうかと、真剣に考えました」
 その後彼女はベトナムに渡り、貧困層のためのインフラや、教育制度を整備するために国連のインターンに応募し国連人口基金に半年間勤務。そして帰国後に金融を学ぶべく、不動産投資ファンドへと就職した。
「お金はいい使い方をすれば世界はきれいなものになるし、悪い使い方をすればどんどん腐っていってしまう。まるで血液のようだなと感じたんです。ファンドやマイクロファイナンスで起業したいとも思いましたが、それなりの資本が必要ですしリスクも高い。そこでインドの経験やファッション関係で働いていた母の影響もあって、ジュエリーで起業しようと決意したのです」

 HASUNAが提供するジュエリーの基本素材は、どこの国のどの工場で加工されているかまで遡って調べることができるものがほとんど。しかしそんなクリアな素材は、なかなか見つからないという。
「金は南米コロンビアの鉱山で採れたもの、貝殻や牛の角などはアフリカ中部のルワンダや中央アメリカのベリーズなどで、現地の職人が削ってくれたものフェアトレードで仕入れています。しかし天然石は宝石マーケットを通過する中で流通経路が分からなくなり、鉱山までたどれないというのが現状です。そこもこれからの課題だと思っています」  
 4月で3年目を迎え、3月22日、港区南青山に直営店をオープンさせたHASUNA。今後の展開にも注目していきたい。

(取材日 2011年1月21日 東京港区)

(2011年6月 2日 12:30)
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