商店街を元気にする!シャッター通りの旋風児【東海道吉原宿】

吉原宿シャッターアートの様子 震災後、いち早く指定管理者となっている富士市民活動センター「コミュニティf」に募金箱を設置し、支援活動を行なっているNPO法人「東海道吉原宿」。「東海道吉原宿」は、シャッター通りと化した旧東海道の宿場町に旋風を巻き起こすNPO。女子高生パワーをフル活用した店舗、商店街を彩るシャッターアート、就労支援施設ショップ...次々に繰り出される斬新なアイディアが町を揺さぶる。

 かつては東海道の宿場町として賑わった静岡県富士市・吉原地区。現在も旧街道沿いに立派な店舗が立ち並んでいるが、実際は終日シャッターが降りたままの店が目立つ。地方都市の多くに見られるように、中心部の商店街が機能しなくなっている。
 そんな町の活性化にチャレンジし続けているのが、NPO法人「東海道吉原宿」。代表の佐野荘一さんは、かつては商店街活動に熱心な経営者の一人だった。
「商店街と農業の問題って似てるところがあって、どっちも後継者がいない。でも商店街は、農業よりよほど簡単なんだけどね」
 どうすれば商店街を再生できるか、佐野さんは組織の中で格闘する。
「でも商店主のモチベーションを高めるのって、難しいんですよ。正直言って、既得権益にアグラをかいた空き店舗予備軍が牛耳ってる。で、20年以上も新しい人が入ってこない。新陳代謝がないんです」

 新しい人を呼び込み、風を吹かせなければ商店街の再生もない。かといって既存の組織ではフットワークが重く、新しいことをやろうとしても、根回しが大変だ。
「外部の人が店を出しやすいように、使いやすい町にする。もう新しい組織を作るしかないだろう」、とNPO法人を立ち上げることにして、2003年8月に認証を受けた。
「最初は大変でしたよ。どっちが潰されるかわかってんだろうなって、脅迫まがいの電話がかかってきたりした。もう、そういう人たちとは、一生口をきかない覚悟で始めたけど、今年、NPO代表者として新年会に呼ばれてね。時代が変わったんだな、お互い、認め合う存在になれました」
 設立時、任意団体としてではなく、いきなりNPO法人格を取得した。「いつか必ず、融資を受ける必要が出てくる。それなら、最初から法人にしちゃったほうがいいと思ったんですよ」(佐野さん)。

 NPO法人・東海道吉原宿の象徴とも言える事業が、「吉商本舗」だ。これは、地元の商業高校「吉原商業(注1)」と連携して2004年にスタートしたチャレンジショップ。店を運営するのは、現役の女子高生である。授業が終わった後の午後4時ごろからオープンし、開店しているのは2時間ほどだが、初年度から600万の黒字を記録するなど、成功を収めている。
「現在は20名の女子高生が関わっています。言ってみれば一種の部活なんですよ。学校を挙げてやっているわけじゃない。でもやる気あるコが多いよ。面白いのはね、見た目は今どきの女の子なんだけど、スイッチが入ると一気にオバチャンになっちゃうんだ」
 売り物は駄菓子が中心だが、オリジナル商品もある。店に置く品物を選び、仕入れ、ディスプレイし、レジ打ちまで、すべて現役高校生が担当。今ではすっかり、地域で親しまれるショップとなっている。

 東海道吉原宿の活動は、実に多岐に渡っている。吉商本舗のほか、レンタルオフィス、コミュニティカフェ(注2)、就労支援施設商品販売などの空き店舗活用チャレンジショップ。また市民活動センター(注3)の指定管理や、2月一杯展開された大規模博覧会「フジパク」の事務局、300人が集まる大規模合コン「YWGP(注4)」の主催など、一筋縄ではいかない手強いNPOなのだ。
「今までは、商店街はもうダメだろうって、吉商本舗とか、カフェとか、自前でやってきたけど。これからは、いろいろなものを『つなげていく』段階に入っていくと思います。財政規模もどんどん大きくなってて、NPOの形態じゃ厳しくなってる面もある。なんとか市場から、資金調達できる仕組みを作りたいんだよね」(佐野さん)
 商店街活性化から始まった活動が、どんどん大きく、面白くなっていく。今後も吉原宿の動きから、目が離せそうにない。

(注1)吉原商業...平成23年4月からは、総合探究科、ビジネス探究科、スポーツ探究科の3学科をもつ「富士市立高校」にリニューアルされた。
(注2)コミュニティカフェ...「カフェ・プレアーテ(ブログはこちら)」。吉原の定番「つけナポリタン」はもちろん、各種ランチメニューが人気。
(注3)市民活動センター...「富士市で初めての指定管理者制度が導入されることになって、再開発ワークショップが開かれて。ドリフ博物館とか、露天風呂作れとか、いろんな面白いアイディアが出たんだけど、結局一番つまんなそうな『市民活動センター』になっちゃった」(佐野さん)。現在は「東海道・吉原宿」が指定管理者となっている。
(注4)YWGP(吉原ワクワク合コンプロジェクト)...宇都宮で開催されている大規模合コン「宮コン」にならって2010年2月からスタート。「男子の食いつきは非常にいいんだけど、女子を集めるのがけっこう大変」(佐野さん)

※ 掲載の写真は、東海道吉原宿からお借りしたものです。

(取材日 2011年1月25日 静岡県富士市)

(2011年5月27日 17:00)
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