計画的避難区域「飯舘村」のこころを伝える本【「日本で最も美しい村」連合】

福島県相馬郡飯館村 福島第一原発の放射能被害により、計画的避難区域に指定された福島県飯舘村は、本サイト既報の「日本で最も美しい村」連合のメンバーでもある。これまでにも幾多の困難を乗り越えながら、自然と共に生きる道を選んできた飯舘村の取り組みを紹介した本「までいの力」が、福島県のSEEDS出版から発行され、話題となっている。
 東日本大震災発生直後、「日本で最も美しい村連合」は、加盟町村について「北海道標津町で若干の津波、群馬県中之条町及び昭和村などで家屋壁にヒビ」そして飯舘村については「電話連絡が取れないが大きな被害はない」としていた。当初は原発からも20キロ以上離れていることから、放射能の影響もさほど及ばないと考えられていた。
 ところが、原発事故の被害が拡大していくにつれ、風向きや地形などの関係で、村内の放射線量が高いことが判明。国際原子力機関(IAEA)が「避難すべき」と政府に勧告を出したことで全国から注目されることとなった。
 飯舘村は、これまで「日本で最も美しい村」連合への加盟を始め、「持続可能な村」を目指して、菅野典雄村長のもとで意欲的な取り組みを続けてきた。畜産では20年以上の歳月をかけ「飯舘牛」というブランドを確立。飼料もほとんどは自給している。また特別養護老人ホームに木質チップボイラーを設置、燃料は村内で生産される木材から生まれる。このほか教育関連費用に充てることができる年額5万円の「子育てクーポン」の交付や、村営の書店開設など、数多くのユニークな施策が話題となってきた。
 キーワードになっているのが「までい」という言葉。これは方言で「両手」「ていねい」「つつましく」といった意味を持っており、この精神は老若男女ほとんどの村民に浸透しているという。さまざまな意味において「日本で最も美しい」と呼べるような村の姿を体現していたのが飯舘村だった。
 こうした村の取り組みを記録し、幅広く世間に知らせようと企画されたのが書籍「までいの心」だった。一年にわたり取材が続けられ、編集作業が終了。ところが出版直前に東日本大震災が発生した。震災直後は出版の断念も考えられたが、住民を力づけようと、村長の新たなメッセージを添えて、4月中旬に完成した。
 原発事故は長年に渡り築き上げてきた「美しい村」にダメージを与えた。村内には比較的安全な地域もあり、柔軟に対応すれば全村避難は避けられる...と村は主張するが、国は一方的な線引きで強制的に村人たちを立ち退かせようとしている。今後の成り行きから目が離せない。
 「までいの力」の収益は全額、村の復興費用となる。興味をもたれた方は、ぜひ購入をご検討いただきたい。税込み2500円。問い合わせはSAGA DESIGN SEEDS社(電話024(597)6800)まで。

※掲載した写真は、日本で最も美しい村連合のホームページからお借りしたものです。

(取材日 2011年4月28日 福島県飯舘村)

(2011年5月 1日 11:00)
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