里山長屋、ついに竣工【里山長屋暮らし~藤野プロジェクト】

  完成した里山長屋神奈川・藤野の里山に、4家族が暮らす長屋を建設する過程を、日々ネットで公開していく...。2010年のCANPANブログ大賞で、グランプリに輝いた「藤野プロジェクト」里山長屋が遂に竣工、完成見学会が行われた。

 見学会が開催されたのは、2011年2月12日、13日の2日間。完成した長屋は、午前10時から午後4時の間一般公開された。当日は、ワークショップで長屋の建設に携わった人や、住人たちの友人・知人、地元の関係者などが次々に訪れ、賑わいを見せていた。
 公道を左に折れると、一番手前が共有スペースであるコモンハウス、その先に4軒の居住スペースが並んでいるのが見える。
 コモンハウスでは、設計を担当し、本人も長屋の住人となる山田貴宏さんによる説明が行われた。CANPAN NEWSが訪れたのは、都合4回行われた説明の、最初の回(12日午前11時)。前日から雪が舞い、説明会に訪れた子どもたちが隣の空地で雪遊びに興じるなど、人が集まりやすいコンディションとは言えなかったが、50人余りの人々が、山田さんの説明に熱心に耳を傾けていた。

 長屋全体の広さは、およそ110坪。それぞれの住まいは22坪から24坪だが、他に25坪の共有空間(コモンハウス)があるため、実質的には50坪弱のスペースが利用できる仕組み。
「欧米でのコ・ハウジングは20~30世帯が程よいスケールと言われますが、日本では土地の確保が難しいので、小規模になりました。藤野の町内に、こうしたモデルがいくつもできればいいと思います」と、山田さんは語る。
 コモンハウスには、4軒がシェアできる洗濯機や風呂、大きなキッチンや書棚などが設置されている。共有できるものは共有し、なるべくムダを省こうというわけだ。
 この日は山田さんによる説明会の会場として使われ、書棚にはプロジェクト関連の書物などが並べられていた(ブログ大賞の副賞である、製本されたブログも展示!)。今後も住人だけが使うのではなく、地域に開かれた空間として、会合などに積極的に使っていってほしい、というのが住人たちの希望だ。

 建物に足を踏み入れて、まず感じるのが香りの良さ。シックハウスとは無縁の、木造建築の心地よい香りが、訪れる者をリラックスさせてくれる。
 また長屋といえば、間取りも画一的なのかと思いきや、さにあらず。それぞれの家族のライフスタイルを反映し、どの部屋も十二分に個性的なつくりになっており、和式トイレの家があるかと思えば、近代的な食器洗い機をビルトインしたモダンなキッチンもあるという具合。見学者たちは、各家庭を回っては、隅々まで興味深そうに眺めていた。
 共同生活といえば、ヒッピーのコミューン的なイメージを持つ人が多いが、この里山長屋では、各家庭のプライバシーはきちんと確保される。気が向けばコモンハウスで隣人と過ごすもよし、疲れたら自分好みにしつらえた長屋のプライベート空間に引っ込むのもよし。「シェアのいいとこどり」(山田さん)をしたのが、里山長屋なのだ。

 長屋の建築に際しては、多彩な技術が生かされている。代表的なのが「そよ風」。板金で作られた屋根は、太陽熱で冬でも40度から50度になる。ここで暖められた空気を、ファンで回して床下に送る仕組みのことだ。太陽さえ出ていれば、冬でも20度程度の室温を確保でき、エアコンが必要ないという。極力化石燃料を使わないために、他にも様々な仕掛けが施されている。
 また、室内を見渡して印象的なのが、土壁(ワークショップを通じ、のべ200人以上が製作に関わったという)や、がっちりとした木組みなど、伝統的な工法が目に見えてわかること。「木の性質を理解した大工さんじゃないと難しい。今は合理化で、こうしたやり方がほとんど見られなくなってしまいました」(山田さん)。
 建物はできたが、「長屋暮らし」はこれからが本番。ますます面白くなっていきそうなブログが、今後も楽しみだ。
 
(取材日 2011年2月12日 神奈川県相模原市)
(2011年2月17日 14:00)
From CANPAN NEWS
東北地方太平洋沖地震支援基金

CANPANプロジェクト

日本財団

CANPANレポート