若者をサポートしないと、日本は潰れます【250食堂】

250(にこまる)食堂で食べられるチキンライスわずか250円で、暖かくボリューム満点の昼食が楽しめる「250(にこまる)食堂」。20年以上にわたり、若者たちへのサポート事業を推し進めてきた(株)K2インターナショナルによる、画期的なプロジェクトだ。

 250食堂の本店は横浜市磯子区、根岸駅にほど近いK2インターナショナルグループ本部ビルの1階にある。ここで働くのは、引きこもりやニートから、一般社会への復帰を目指す若者たち。カレーやチャーハン、うどんを中心に、週替わりで様々なメニューを提供し、客を飽きさせない。取材当日に食べたカレーには、大きめの野菜がたっぷり盛り付けられ、正直これで250円は申し訳ない、というボリューム。味も上々であった。
 運営の母体である(株)K2インターナショナルは、横浜を中心に幅広く若者支援事業を展開している。250食堂の店舗は、根岸本店のほか、根岸駅前、石川町北口など、2010年12月現在で5ヶ所に展開されている(*1)。
 利用者は年会費1000円を支払い、会員カードを購入。カードを提示すれば、各店で250円ランチを食べることが可能だ(*2)。会費は若者たちの自立や起業のサポート基金として役立てられる。

 「250食堂は、若者支援の社会運動なんです」と語るのは、プロジェクトを推進する岩本真実さん。
 一時ほど報道されなくなったとはいえ、現在、日本には69万もの引きこもりの若者がいるといわれ、その数は増える一方だという。少子化が大きな問題である上、これほど多くの若者が社会との接点を持てずにいる。日本社会はまさしく緊急事態だ。
「彼らを具体的にサポートしていかないと、日本は本当に潰れます。誰にとっても、他人事じゃない。この事実を、関心のない人にも、示していきたいという狙いもあります」(岩本さん)
 250食堂は、引きこもりやニートから一歩踏み出していこうとする若者たちに、就労の機会を提供するために生まれた。彼らにとってこの食堂は、社会と再び繋がっていくための、かけがえのないトレーニングの場となっているのだ。

 250食堂の運動は、危機的状況にある現代日本の「食」に対する意思表示でもある。
「孤独死、餓死が毎日のようにニュースになる。たった一人で、冷たい弁当を食べるのも当たり前になっています。本当なら食事って、誰かとおしゃべりしながら、楽しい時間を過ごすはずのものなのに」(岩本さん)
 生活に困っていても、ここに行けば、僅かなお金で暖かい食事を楽しめる。困っていることがあれば、相談に乗ってくれる人がいる。250食堂は、「食のセーフティネット」としての役割も持ち合わせているのだ。
 250食堂では、原価を引き下げるために、善意の食材提供を歓迎している。「家庭菜園で取れた作物を、喜んで寄付してくださる方も多いんです」(岩本さん)また横浜市内のセントラルキッチンでは、若者たちのほか、多くのボランティアたちが仕込みや料理に腕を振るい、安くてうまい料理の提供に一役買っている。

 250食堂は、単なる安売りのファストフードとは違って、「家の食事のおすそ分け」のようなもの...と、岩本さんは語る。
「会員制をとっているのも、一般の飲食店との差別化を考えてのことです。この運動の協力者である、という位置づけですね」
 今後は、このユニークな試みを、各地に広げていくのが目標だ。
「過疎化した地域でも、地域活性化のためにやってくれればいいと思います。活動の主体も、若者支援団体だけじゃなく、企業や一般の人たちにも参加してほしい。地域の中で若者を支えていくネットワークを、構築していきたいんです」
 だからといって、フランチャイズ化を目指しているわけでもない。
「250は、こういうことも可能ですよ、という1つのモデル。若者支援の事業は、それぞれの地域で、特性に合わせてやっていくべきことですから...」

(*1)根岸本店のほか、根岸駅前店、港南台駅前店、石川町北口駅前店、そして運動に賛同した一般の居酒屋である蒲田「叶え家」が、現在の250食堂ラインアップ。

(*2)現在のところ、会員でなくても、+50円(合計で300円)を支払えば、飲食は可能となっている。

(取材日 2010年12月13日 神奈川県根岸)

(2011年2月14日 00:00)
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