身近な社会問題に目を向けた『3・9プロジェクト』【ポーラ・オルビスグループ】

鎚起銅器ネックレス&ピンブローチ
 今年で創業82年目を迎える化粧品メーカー、株式会社ポーラの原点は、創業者である鈴木忍氏が、手が荒れてしまった妻のために独学で作ったハンドクリームにある。同社はクリームの量り売りの販売が始まって以来、当時では珍しかった女性の訪問販売員「ポーラレディ」を起用し、昭和初期から女性が働く場の提供にも積極的に力を入れてきた。ポーラ・オルビスホールディングスにCSR推進室が誕生したのは2007年とのことだが、CSR的な活動は、創業当時から行なわれていたという。

 現在、ポーラ・オルビスグループが行うCSR活動は、コンプライアンスや情報セキュリティ等の「基本的CSR」と、高品質商品・サービスの提供やワーク・ライフ・バランス、環境配慮などの「事業的CSR」、TABLE FOR TWO、エコキャップ活動、ピンクリボン運動への支援などの社会貢献活動を推進する「選択的CSR」と、3つの領域に分類されて取り組まれている。ポーラ・オルビスグループのCSR活動の中で、筆者が着目するのは「事業的CSR」にあたる『3・9(サンキュー)プロジェクト』*1。
 同プロジェクトは、銅器や江戸切子など、日本ならではの「ものづくり」の技術に、ポーラ独自の発想を融合させた地域産業活性化活動のこと。創業80周年にあたる2009年は、工芸品として人気の高い「江戸切子」を容器に採用した、最高級ブランド「B.A(ビーエー)」のクリームを発売した。

「『財団法人ポーラ伝統文化振興財団』という財団を設立し、30年前から伝統工芸を支援して参りました。しかし後継者不足などによって失われつつあるのが現状です。その理由のひとつに、ビジネスとして成り立たないからというのもあります。そういった伝統工芸と一緒に仕事ができるような企画を作ってお仕事を発注する形で支援させていただいているのが『3・9プロジェクト』です」
 そして2010年は世界的に有名な金属加工産地、新潟県燕市のメーカーとコラボレーションし、鎚起銅器(ついきどうき)*2のネックレス&ピンブローチ*3を作成した。
「無形文化財に指定されている鎚起銅器を製作されている玉川堂(ぎょくせんどう)さんの技術を使って、アクセサリー作りに初挑戦していただきました。また同じ燕市の金属化工業の集合体から誕生した、キッチン&ダイニングウエアブランド『enn 』さんにも置き時計や小物入れなどの雑貨の作成をお願いしました。産業の新たな展開が生まれる機会作りになったのではと思っています」

 地域とのコラボは伝統工芸だけでなく、愛知県今治市のタオルや新潟県佐渡市の海洋深層水などの地域産業にも及ぶ。
「日本だからこその"いいもの"はまだまだ沢山あります。日本の企業として国内にしっかりと目を向けて、日本の産業を応援していきたいと思っています」(CSR推進室 永井綾子さん)
 海外への支援がクローズアップされがちな日本企業のCSR活動の中で、自らも密接に関わる日本国内の産業を支援するポーラの『3・9プロジェクト』。果たして今年は、どんな地域産業とのコラボレーションを見せてくれるのであろう。今後の展開にも注目したい。

*1 プロジェクト名の由来は「3つの対象と9つの志

*2 鎚やタガネなどの道具を用い「打ち延ばし」「打ち縮め」という鍛金の技術を駆使して、一枚の銅板から仕上げられた銅器のこと。

*3 鎚起銅器ネックレス&ピンブローチと『enn』作製の雑貨は、商品としてではなく、化粧品購入者へのプレゼントグッズとして製作されたもの

(取材日 2010年11月10日 東京都銀座)

(2011年1月31日 00:00)
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