CSRは儲かります!【石井造園株式会社】

にこやかに取材に応じる石井社長横浜・栄区、従業員10人の小さな造園業者が社会貢献業界に旋風を巻き起こしている。一昨年に続き今年もCSR大賞にノミネートされ、市民によるWEB投票で1,207票を集め第10位にランクされた石井造園株式会社だ。

「こないだもね、『CSRは儲かります』ってタイトルで講演してきたんですよ」と、笑顔で話すのは、石井造園の二代目社長である石井直樹さん(44)。石井造園は横浜・栄区に根を張り、父親の代から社会貢献に精を出してきた、根っからの地域密着型企業(横浜市の「横浜型地域貢献企業」にも制度実施初年度から認定されている)だ。
 CSR活動を推進することは、間違いなく企業のためになる、と石井さんは力説する。「実際に、活動に注目してくれた民間からの受注が確実に増えています」
 しかし、CSR活動のメリットは、それだけではない。「何といっても、社員がイキイキしてくる」と石井さん。
「最初は『何でお金にならないことを、こんなに熱心にやるのか』って声もあった。でも達成感が出てくると『社長もけっこういいこと言うな』って。そのうち、どんどん自然に意見が出るようになったんだよね」

 石井造園のCSRキャッチフレーズは「ついでに、無理なく、達成感のある事を」。
「最初はね、15年ぐらい前かな。リースの終わった観葉植物を、普通なら捨てるしかないんだけど、もったいないな、と。そうだ、近くに養護学校があるから、園芸療法(*1)に使ってもらえませんか? って、申し出たの。3年ぐらいで、リースの仕事がなくなっちゃったから、終わりにしたんだけど、いまだに運動会の案内状が届きますよ」
 いくら子どもたちが喜んでくれるからと言っても、わざわざ買って届けることはしない。それでは「無理なく」の方針に反することになってしまうからだ。
 現在は、社員の提案でスタートした緑化基金(*2)を始め、苗木配布活動など本業から想像しやすいもののほか、地元の惣菜店と共同で、小学生を対象に生ゴミを堆肥化して花を植える活動などユニークなものまで、多彩なラインアップが特徴だ。

 石井さんが「CSR」に意識して取り組むようになったのは、5年前に青年会議所の勉強会で社会貢献活動やコンプライアンスという言葉に出会ってからだった。
「CSRって何? ふーん、そういうことなんだ、うちはもうやってることばかりだな。面白い、これはチャンスだと思って」
 石井造園の活動で特筆すべきは、毎年、夏至の日に開かれる「CSR報告会」だ。
「大企業のCSR報告書を読んでみて、すぐ飽きちゃった。こんなモノ読む気がしねえな、って(笑)。じゃ、うちならどうするか、って考えたんだよね」
 さっと読んでもらえて、捨てるときも気楽に、環境に負荷がかからないように...と、A4判用紙を二つ折りにして裏表に、気軽な読み物形式で報告書を作成し、社屋のガレージに関係者や顧客、地元住民らを集めて報告会を開催。会場では生ビールと枝豆がふるまわれ、ミニコンサートも行われる(*3)。

 石井造園では、新たな地域貢献の取り組みとして、コミュニティの核となるカフェの事業化支援を考えている。これは、秋に実施された「CasaMarche」の発展形だ。
「10月の1回目は、たった2日の開催だったのに60万も売上があった。2回目は5日間で500人ぐらい集まった。これが1年続いたら凄いけど、なかなかそうはいかないよね。どうやって成り立たせるか? 補助金なんかに頼らず、独立して続けられるスキームを作っていかなくちゃいけない」
 11月26日付で報じたように、2回目の開催時には、CSR大賞が取り持つ縁で宇都宮からY's teaが参加。またY's teaの根本社長が実行委員長を務めた、宇都宮の商店街で行われた「サンセット・マルシェ」を、石井社長夫妻が視察に訪れたとのこと。CANPAN NEWSでは、地域のコミュニティづくりに奮闘する企業のコラボレーションに、今後も引き続き注目していく。


*1「園芸療法」...植物を栽培し、その生長を目の当たりにすることで、心身の障害やストレスを取り除こうとするもの。室内にこもりがちな高齢者や障害者などを外気に触れさせ、五感を活性化させる効果も大きい。

*2「緑化基金」...受注した事業の請求金額のうち末尾3桁の金額¥1~¥999までを基金として集計し、さらにその同額を石井造園からも寄贈するというもの。積み立てられた基金は、地元小学校の緑化に役立てられる。

*3「生ビールとミニコンサート」...「去年はワールドカップのオランダ戦と重なっちゃって。みんなソワソワして、失敗しちゃったね(笑)」(石井さん)

(取材日2010年12月7日 神奈川県大船)

(2011年1月13日 23:00)
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