まつえ・まちづくり塾の発足は96年にさかのぼる。当時の松江市が、マスタープランを初めて作るのにあたり、新しい街づくりのリーダーを育てようと、「松江まちづくり塾」という講座を開いた。3年後、行政の手が離れるのに際し、せっかく集まったのにここでやめてしまうのは惜しい...と、仲間たちが集まって任意団体としてスタートしたのが「
まつえ・まちづくり塾」だった。
様々な事業を進めていく中で、任意団体のままでは「なかなか仕事を受けられない。ステップアップして法人格をとろう」(井ノ上知子代表理事)と、6年前にNPO法人になった。現在の会員は42名で、それぞれプロジェクトごとに「この指とまれ」方式で関わる仕組み。事務局は、代表理事の井ノ上さんのほか常勤の事務局員が1人という体制で運営されている。現在、中心となってブログを書いているのは、去年新たに採用された事務局員の板垣麻美さんだ。
板垣さんは、最初はNPOという職場に戸惑いもあったが、「ここに来なければ知らなかったこと、出会えなかった人ばかり」で充実した毎日を過ごしている。
「ブログそのものは、06年からスタートしていましたが、私がリニューアルを提案しました。自分自身、NPOの運営やまちづくり、松江の歴史などを楽しみながら、学んでいく過程を正直に書いていこうと思ったんです。素で、天然で書いてます(笑)」
ネタは山ほどあるのに、情報発信にかける時間がなかなか取れず、全部書けないのが辛いところ...と、板垣さんは話す。
「理想的には、私だけが決まって書くというよりは、会員などいろいろな人々が、日々書いてくれるといいな、と思っています。みんなが競うように書き始めれば、いろんな価値観が出てくると思うんです」
まつえ・まちづくり塾が行なってきた活動のひとつに「
出雲そばりえ」の認定制度がある。文字からもわかるように、これはワインの「ソムリエ」をもじったもので、「適切に出雲そば店を案内したり、そばのメニューを紹介したり、そばに関する様々な知識を披露する」ことができる人を指す。
「03年に、観光プロデューサーの方が『パンフレットを作るんだけど、何かアイディアありませんか』と言ってきたんです。それなら一緒にやりましょう、と...。当時、讃岐うどんの『麺通団』がはやっていた。それで『出雲そば通団』を始めて、そば好きを募って取材イベントをやったのがきっかけです」
取材の際、通常なら写真を撮るところだが、「写真だと古くなっちゃうのでイラスト」(井ノ上さん)にしたところがユニーク。成果は冊子「出雲そば通」にまとめられた。
「島根のためにもなりますし、店も、お客さんも喜んでくれています。松江は、人の数も限られているし、町も端から端まで行きやすい。そうすると、会った事のある人がどんどん増えてきて、町が見えてくる。自分のやることが、知らず知らずのうちにはっきりしてくるんです。宍道湖の橋を渡り、しじみ船を見ながら通勤していると、気持ちも自然にゆったりとしてきます。」(井ノ上さん)
いま「まちづくり塾」が力を入れているのは「まちあるき観光」だ。
「路地の隅々まで歩いて、これまで見えていなかった魅力を知ってもらいたい。それが商店街の活性化にも繋がっていくと思います。もっともっと松江のファンを増やしていきたいですね」(井ノ上さん)
(取材日 2010年10月26日 島根県松江)
(2010年12月24日 23:00)