公共部門の補助・委託金からの脱却こそがNPOの悲願【SDF】

ソーシャル・デザイン・ファンド代表金森康氏
 今年の春には、全国で4万団体を突破した特定非営利活動法人(NPO法人)。しかしその活動に対する理解度はまだ低く、公共部門の補助・委託金無しで,独立して活動が成立している団体はほんの一握り。ほとんどの団体が、財政面で苦心しているのが現状だ。
 日本のNPOにおける、財政的脆弱さについて、兵庫県宝塚市にあるNPOの能力強化・向上を目指す資金仲介ファンド、NPO法人ソーシャル・デザイン・ファンド(以下SDF)の代表理事、金森康さんに聞いた。
「年収600万円のアメリカのNPO経営者と、片や年収60万円、ボランティアでやっている日本のNPO経営者。双方に能力やバイタリティの差があるわけではありません。ではどこで年収10倍の差が出るのか? それはやはり、日本には社会的なお金が回る基盤がないということにつきます」
彼は神戸商科大学(現兵庫県立大学)の大学院生だった90年代後半に、海外のソーシャルビジネスを研究。ヨーロッパに頻繁に足を運び、その仕組を学んだ。

「例えばイギリスには、ビジネスをしながらホームレスを対象にパソコン訓練を提供するような、お金儲けと社会貢献を同時にするITベンチャーがたくさんあります。数百年前の建物にブロードバンドをひいたオフィス、建物(ハード)にはお金をかけていません。ヨーロッパでは建物や道路よりも、サービスに優先して税金が使われます。他方、日本では建物(ハード)に対しては税金が使われても、サービス(ソフト)に対して使われることは少ない」
 福祉や社会保障が手厚いヨーロッパでは、NPOに対する公的支援額も大きい。しかし日本は財政も厳しく、今となっては、公共の支援が増えるとは期待できない。
「NPO法が成立したのが1998年。阪神淡路大震災の3年後です。私も兵庫の『宝塚NPOセンター』に在籍して、お金の調達などを担当していたので分かるのですが、その頃は震災から復興へという流れもあって、NPO対してたくさんのお金が流れてきたんです。だけどそれは少しずつ削られていって、今では十分な活動資金を調達できていないNPOがほとんです」(金森さん)

 そこで金森さんは2006年1月にSDFを設立。資金調達に困るNPOのサポートを開始した。
「凄く頑張っているNPOはたくさんあるけど、事務的な力はあまりない。でも組織として人材を育てる余力が無いですから、仕方ないことなんです」
 そこで資金調達を得意とするSDFの出番である。
「今は同じ志を持つNPOが複数集まって、それを我々のような中間支援団体が代表する『コンソーシアム(連合体)』を作り、企業や行政などと交渉する。今は世界的にこれが合理的なモデルとされています。海外はほとんどがこのパターンです」
 SDFが担当するコンソーシアムの成功例として、神戸で毎年3月に開催される子どもたちに芸術を広げるアートイベント「ゆめのはこ」が挙げられる。

「福祉系やアート系のNPOが中心となって運営し、我々が資金調達を担当して、当初は兵庫県の地域活性系の補助金を調達、その後、日本財団の助成を得つつ基盤をつくってきました。財政的な自立・継続が目標です。福祉やアート、そして資金調達、それぞれの得意な部分をかけ合わせて形にし、より大きな資金を得ようというのがコンセプトです」
 その他にも同団体では、NPOの情報発信を応援するポータルサイト「関西ええこと.mot」の運営、代金の中からNPOや障がい者に対して資金が提供されるグッズ「ゆめきらきらマグネット」を開発するなど、様々な形でNPOサポートを続けている。もちろんそれらは、ボランティアではなく収益のあるビジネスとなっている。
「これからのNPOは事業性がないと続けて行くことはできません。我々も自社ビルを建設して1階と2階に事務所を構え、上階は賃貸マンションにして、賃料を収益源にするということも考えています」
 最終的に国や自治体などの公的な資金から脱却し、事業性を確立すること。それこそが全てのNPOの課題なのかもしれない。

(取材日 2009年12月22日 東京都)

(2010年11月19日 11:00)
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