「僕のルール」を支える人たち【世界の子どもにワクチンを】

世界の子どもにワクチンを日本委員会 事務局長 新井俊郎氏 ミャンマー視察の模様 ペットボトルのキャップ回収活動を最も早くから行ったのは、本サイトでも紹介した、NPO法人「エコキャップ推進協会」。キャップはリサイクル業者に買い取られ、その売上(現在の相場では400個に対して10円)が、ポリオ(小児まひ)などの感染症に苦しむ発展途上国の子どもたちのために、ワクチン代として寄付される。
「日本中から、"キャップが集まったので取りに来てくれ"なんて電話をいただくことがありますが、私たちはあくまでも寄付をいただく募金団体。それを説明するのが意外と大変なんです(笑)」
 そう語るのは実際にワクチンを届ける活動を行なう「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」の事務局長、新井俊郎さん。「キャップ回収=ワクチン」という合言葉はわかり易く、印象も強い。しかし同法人の活動はエコキャップ推進協会からの寄付だけでなく、企業や学校、そして各界の著名人など、日本中のたくさんの人々からの、様々な寄付によって支えられているのである。

 AC(公共広告機構)のCMでも紹介された、福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手による「僕のルール」。彼のルールとは、マウンドで1球投げるたびにワクチン10本分の寄付をするというもの。開始した2005年から現在までに贈ったワクチンは、既に20万本を超えるという。
「和田選手は以前から、社会人になったら社会貢献がしたいと思っていたそうです。だけど、ただ単純に寄付しただけでは、そのお金が学校になったのか、または井戸になったのかがわからない。しかも"何円寄付しました"という言い方をしたくなかった。うちの場合だとポリオワクチン1人分で20円。例えば200円あれば10人分のワクチンになる。自分が投げることによって、何人の子どもの命を救うことができたということが結果として出る。そこに魅力を感じたと言ってくれました」(新井さん)

 和田選手の「僕のルール」は、企業による寄付活動にも大きな影響を与えた。和田選手のメッセージに共感したトンネルの掘削工事をする奥村組は、トンネル*1を1m掘り進めるごとにワクチン2人分寄付するというルールを作った。また、銀座に店を構える人気ドーナツ店『ミエル』は、客がギフトボックスではなく簡易包装をチョイスした場合に、その箱代を1人分のワクチンとして寄付する「NO BOX=1ワクチン」というルールを作った。さらに京都の都タクシーでは、1000km走行ごとに2人分のワクチンを贈っている
「運転手さんの後ろには、前月の寄付が何人分になったかが表示されています。それがお客様とのコミュニケーションに繋がるし、"自分の仕事は社会貢献になっているんだ"という運転手さんのモチベーションにも繋がるようです」(新井さん)

 全国の市民によるボトルキャップ回収活動によって、これまでに集められたキャップは約24億個。現時点での寄付総額は、約3360万円。しかし、新井さんいわく、金額よりも参加することで寄付が身近になる、ということのほうが大きいという。
「子どもの頃に発展途上国の子どもたちの命を救う活動をしたという経験があると、大人になってからも社会貢献や国際貢献、また寄付行為への抵抗がなくなるんです」
 JCVは全国の学校などをまわり、現地の映像などを見せ、キャップを回収したことが、どんな社会貢献になっているのかを子どもたちに伝える活動も行っている。
「日本もかつて、アメリカやソ連、ヨーロッパ諸国にワクチンを提供してもらい、多くの子どもが助けられました。そのことを忘れずに恩返しをしたい。そして私たちがワクチンを提供した国の子どもたちが、また別の機会に恩返しをする。そう繋がってくれたらいいですね」
 世界に繋がる恩返しの連鎖。同法人の活動には、そんなテーマが隠されているのである。

 

*1三陸自動車道唐桑道路の新唐桑トンネルの掘削工事

※なお、この写真は世界の子どもにワクチンを日本委員会からお借りしたのものです。

(取材日 2010年6月11日 千代田区霞が関)

(2010年10月15日 00:00)
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