みんなで作る全国の多機能トイレマップ【Check】

NPO法人check代表の金子健二氏
障がい者や高齢者にとって、外出先でのトイレは深刻な問題。最近では車椅子やオストメイト(人工肛門・人工膀胱を造設した人)に対応した多機能トイレも増えてはきたものの、その数はまだ少ない。中にはトイレの不安によって、外出を控えざるを得ない人もいるという。

 特定非営利活動法人(NPO)Checkは、障がい者や高齢者、さらには乳幼児連れの親たちが外出先でトイレに困らないように、全国の多機能トイレを掲載したWebサイト「Check A Toilet」を公開している。
 
 代表理事を務める金子健二さんは、以前旅行会社に勤務し、車椅子利用者や高齢者の介護旅行の企画営業を担当していた。

 「高齢者や障がい者は一泊以上の旅行になると、トイレになるべく行かないように、数日前から水分を制限するという人も多いんです。でも、せっかくの旅行なのにそんな我慢しないといけないというのはおかしいですよね? それで困っている人たちがトイレを検索できるようなマップを作ろうと思ったんです」(金子さん)
 
 「トイレで困っている人は日本全国にたくさんいる。このトイレマップによって、そういった人たちの外出が増えれば日本の経済も活性化するはず」
 そう思った金子さんは、このアイデアを会社に提案。しかし「それは金になるのか?」「そんなことよりも営業の成績を上げろ」と一蹴されてしまう。このアイデアをどうしても形にしたかった金子さんは旅行会社を退社し、友人のウェブデザイナーやエンジニアなどの協力を得て自らサイトを構築する。
 全国の交通機関や自治体等に電話をかけ、多機能トイレ情報を集めてひたすらサイトに入力し続けた。5000件の情報を入力し終えた頃、地図検索サイトのマピオンのスポンサードが決定。その後、ソニーやグーグルなどもサポートに加わることとなった。

 今年5月にはiPhone用のアプリケーション「Check A Toilet for iPhone」を発表。無料でダウンロードすることができ、ユーザー自らが多機能トイレの情報や写真を、自由に登録できる。
 「元々『Check A Toilet』の仕組みは、利用者の方がパソコンから登録できるというものです。iPhoneだったら外出先で見つけた多機能トイレの情報をその場で登録してもらえます」
 金子さんいわく、iPhoneの最大のメリットは、撮影した写真を簡単にアップロードできること。多機能トイレと一口に言っても、手すりのタイプやオムツ替え台や人工肛門洗浄機の有無など設備は様々。写真が何点か掲載されていれば、当事者にとって必要なもの備わっているのかが分かりやすい。
 またCheckでは、活動のPRのため、現在「アフター5チェック」という社会貢献イベントを実施している。これは、企業と協力して社員の参加者を募り、iPhoneを配布して就業後に会社周辺の多機能トイレのチェックと登録をしてもらうという試み。現在は5回目までが終了。10月9日には関東学院大学にて、有志学生100名が参加する「iPhoneを使った社会貢献イベント」の開催が予定されている。

 今後の課題は、もっとトイレに困っている人の現状を知ってもらうこと。そして同時に、障がい者や高齢者、そしてその家族の方たちに、もっともこの『Check a Toilet』を知ってもらい、積極的に使ってもらうことだと金子さんは語る。
 「困っているご本人が、携帯電話やIT機器があまり得意じゃないというケースが多い。いい情報はあるのに、あまり使えていただけていないのはちょっと誤算でした。ですから介護する家族の方やヘルパーさんに理解していただいて、もっと使っていただけたら嬉しいですね」

 全国に約10万件あるといわれる多機能トイレ。現在「Check a Toilet」に情報が登録されているのは約3万2000件。Checkではこれからも「アフター5チェック」などのイベントを積極的に開催し、今年12月までに5万件の登録を目指す。
 この活動の特徴は、誰でもインターネットを介して簡単に参加できること。活動に興味を持った人は、ぜひとも「Check A Toilet for iPhone」および「Check A Toilet」を利用して、出先の多機能トイレ情報を投稿してみて欲しい。

(取材日 2010年8月10日 東京都自由が丘)

(2010年9月22日 00:00)
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