綿からバイオエタノール~衣料品リサイクル100%を目指す【日本環境設計】

綿繊維からバイオエタノールを生産するミニ商用プラント(糖化槽)
 不要となりゴミとして出される衣料品は、国内だけで年間200万トン。リサイクルやリユースされるものはそのうちの約15%と、ほとんどが焼却処理に回されているのが現状。繊維業界のリサイクルが停滞している中、綿繊維からバイオエタノールを製造する技術を開発した環境ベンチャー、日本環境設計株式会社 が注目を浴びている。
 これまで使用済みの衣料品は海外への救援衣料や中古衣料として輸出される以外は、雑巾や自動車のシートの中綿としてリサイクルされていた。しかし海外への輸出は着ることができるもののみ。中綿としての需要も自動車産業の低迷と共に低減した。
「どうやってもリサイクルできない部分をなんとかしたいという思いから、こうした技術を開発しました」
 そう語るのは同社の広報などを勤める吉村知恵さん。

 綿からバイオエタノールを作るその方法とは、綿繊維の主成分であるセルロースを特殊な酵素でブドウ糖に分解し、さらに酵母によって発酵させてバイオエタノールを生産するというもの。
「作り方はお酒とほぼ一緒です」(吉村さん)
この工程を経てできる濃度5%ほどのバイオエタノールは、重油の代替としてボイラー燃料などに利用される。ちなみに自動車の燃量として使用されるバイオエタノールは濃度99.6%以上。しかし精製に多大なコストが掛かるため、同社では行なっていない。
 原料となる綿繊維にはボタンなどの装飾品が付いていたり、化学繊維が含まれていることもしばしば。それらは綿繊維と一緒にプラントに入れられるが、分解されずにそのまま排出されることとなる。これは、協力業者の工場に原料として運ばれて軽質油*1、コークス*2、コークス炉ガス*3などが生成され、100%ケミカルリサイクルされるという。

 ブラジル産バイオエタノールが、現在1リットル150円弱で販売されている中、綿製バイオエタノールの製造コストは、1リットル200円と採算は取れていない。しかし日本環境設計のビジネスは、バイオエタノールの販売ではなく繊維を扱うメーカーや小売業からのプロジェクト参加費によって成立している。
「この技術に関心を持っていただけるのは、やはり繊維メーカーや繊維を扱う企業です。そういった企業に衣料品を集めていただいて、それを我々がバイオエタノールにリサイクルするという取り組みを『FUKU-FUKUプロジェクト』と名付け、昨年の8月からスタートしました」(吉村さん)

 現在、『FUKU-FUKUプロジェクト』に参加する企業は、良品計画エドウイン丸井グループイオンリテールらでぃっしゅぼーやアメリカ屋メーカーズシャツ鎌倉の7社。各企業はそれぞれの方法で衣料品の回収を行ない、愛知県今治市にあるバイオエタノール生産工場に送っている。
 今年度の回収目標は50トン。今後はさらに参加企業を増やし、より多くの衣料品回収をを目指す。
「今後の課題はバイオエタノールの製造コスト削減。それとリサイクルの仕組みづくりが必要不可欠だと思っています。繊維でも家電リサイクル法や容器包装リサイクル法のような法律ができるように、国や自治体にも訴えていきたいと思っています」(吉村さん)


*1粘度が低く、低分子量の炭化水素を多く含む原油のこと *2石炭を乾留処理した燃料 *3石炭を乾留するときに揮発するガス分

※なお、この写真は日本環境設計からお借りしたのものです。
(愛媛県今治市の工場にて撮影)

(取材日 2010年8月6日 東京都恵比寿)

(2010年9月 6日 00:00)
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