まだまだ可能性が広がるクリック募金【dff】

クリック募金について語る株式会社dff社長の清水久敬氏
専用サイトに設置されたボタンを押すだけで、自分のフトコロを痛めずに寄付ができる「クリック募金」。ネット社会ではすっかり定着した感があるが、この募金のもつ潜在的な力は、まだまだ大きなものがある。

 日本に導入されてから、今年で10年目を迎えた「クリック募金」(*1)。実際にサイト訪問を日課として、着々と寄付を積み重ねている読者もおられよう。
 このシステムを日本に紹介したのは、㈱dff社長の清水久敬さん。清水さんは、確実に認知度は上がってきているものの、まだまだ未発達な部分はある、と話す。
「日本には『寄付文化』がない、とよく言われますが、私はそうは思いません。日本人も実はみな、自然にそういう気持ちは持っていると思います。ただ具体的なきっかけがなかったり、そういう場面に遭遇しないというだけじゃないでしょうか」
 清水さんは、米国留学中に「クリック募金」の存在を知り、日本に紹介しようと思い立った。実際の寄付はスポンサーが行い、参加者はネットサーフィンをしながらボタンを押すだけでいいというこの仕組み、誰もが参加しやすいのは間違いない。

 今でこそネットユーザーにはなじみの存在となったクリック募金だが、日本での設立当初は「いばらの道」。イイものだから、絶対にうまく行く...と信じていた清水さんだったが、なかなか企業側がノッてこない。
「最初の頃は、社会性を一方的に訴えるだけで、企業のメリット(*2)という視点が欠けていました。そこに気付いてから、やっと営業が成立するようになりました」
 これまでにスポンサーとなった企業は、のべ50社近く。現在、稼動しているのは10社だという。
「スポンサーの数は、多ければいいというものではありません。現在の10社という規模で、ユーザーがすべて寄付を行うと、かかる時間が5分から10分くらい(*3)。この程度が快適なバランスではないでしょうか」
 スポンサーは数も大事だが、それよりは一社あたりの規模を拡大していきたい、と清水さんは考えている。

 クリック募金は、一日、一社あたり15,000クリック程度を集めるようになった。しかし、清水さんは、まだ不十分だと考える。
「海外には、一日10万クリックを集めるサイトもあります。そこから考えれば、まだまだ広がっていく可能性は十分にあるはず」
 dffは最近、「mixi」にその名も「クリック募金」というアプリを提供している(*4)。まったくPRしていないにも関わらず、8月始めまでに5万人以上が登録した。募金を行うと、web上で様々な「鳥の羽根」をコレクションできる。美しい羽根の数々は、眺めているだけでも楽しい。それにしてもなぜ「羽根」?
「日本では、寄付といえば『赤い羽根』を思い出すでしょう。だから、なじみやすいのでは...と思ったんです」
 ちなみにこのアプリ、こどもの日、ハロウィンといった節目には、スペシャルアイテムがゲットできる可能性があるという。

 清水さんは、この10年、「クリック募金」を中心に、企業のCSR活動と密接に関わってきた。
「CSRの重要性に気付いている企業も、どんどん増えてきています。私たちの社会が持続できるのかどうか、企業の側も真剣に考えているんですね。そこに上手にクリック募金を織り込んでいければ...」
 クリック募金を利用することは、企業のマーケティング活動に大いにプラスになる。各企業のマーケティング予算の数%が、クリック募金に割かれるようにしていきたい、と清水さんは考えている。
「社会はいい方向に向け、着実に動き出していると思います。でもスピードは遅い。このあたり、人類全体のテーマであり、個人としては危機感をもっています。でも、一生懸命がんばっている企業は増えている。悲観的になることはありません」

(注1)クリック募金...専用サイトに置かれたボタンをクリックすると、押した人に代わってスポンサー企業が寄付を行う。日本の場合「クリック募金」に見られるように、1日1クリック1円と設定されている例が多い。たとえば「クリック募金」のように、10社がサイト上で募金活動を行っていれば、同じ1日の間でもそれぞれクリックが可能なので、合計10円を10ヶ所の市民団体などに寄付することができる。

(注2)企業のメリット...募金行為は、クリックした時点で終わるのではない。たとえばdffのサイトで「コスモ石油」を選ぶと、そこから企業の専用サイトに誘導され、さらに10件あまりの寄付先から好きなものを選んでクリックし、ここで募金が完結するシステムとなっている。現在の募金額は、多い所では、1日15,000円=クリック。即ち、それだけのネットユーザーを確実に自社サイトに誘導できるメリットがある。また、このシステムの特徴は安価で導入できること。通常の広告宣伝に使うお金よりはるかに少なく効果的な手法である。

(注3)5分から10分...注2で示したように、寄付行為を完結するためには、それぞれの企業サイトに飛ばなければならない。dffのように10社とつながっていれば、所要時間を1社につき30秒とすれば5分、1分とすれば10分程度の時間が必要になるということ。

(注4)mixi(ミクシィ)...日本最大規模のソーシャル・ネットワーキング・システム。利用者は今年の4月で2千万人を越えた。アプリは、mixiの中で使えるゲームなどのプログラム。ミクシィの中から「クリック募金」アプリを探すのはけっこう手間なので、グーグルなどで「ミクシィ クリック募金」で検索をかけた方が探しやすい。

(取材日 2010年7月5日 東京都人形町)
(2010年8月18日 00:00)
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