「社会貢献」という言葉は、好きじゃない【せんだい・みやぎNPOセンター】

せんだい・みやぎNPOセンター代表の加藤氏
せんだい・みやぎNPOセンター」は、1997年に設立された、中間支援組織(*)の草分けである。30年近く市民活動に携わり、変遷を見つめ続けてきた代表理事・加藤哲夫さんに、活動を取り巻く現状についてお話を伺った。

 マスコミには「社会貢献」が氾濫している。大手広告代理店も「社会貢献」を錦の御旗に振りかざし、時流に乗ってNPOを就職先として志す学生も増えてきている。
 ところが、「せんだい・みやぎNPOセンター」の加藤哲夫代表理事は「社会貢献という言葉は、好きじゃない」と断言する。
「市民活動というものは、たとえば不登校の子どもを持ったお母さんたちが、講演会に出かけたら同じような境遇の仲間に出会った。そこで一緒になって行動を起こしていく、といった形で始まる。あくまでも、当事者の中から生まれてくるもの。そこに共感したり、支援をしたいという人たちが絡んできて、運動が広がっていきます」
 自分の子どもの教育環境をよくしたい、自分の住む町をキレイにしたい。身近で切実な理由から始まるのが市民活動であり、「ボランティア」や「社会貢献」といった言葉は、自分を犠牲にするとか他人に奉仕すると言った誤解を増長させてしまうと、加藤さんは語る。

 1949年、福島に生まれた加藤さんは、80年代の初めから市民活動に関わってきた。宝飾品を卸す会社を経営する傍ら、出版社を設立し、さらにエコロジー・ショップを開店。87年にはここで出会った若者たちとの共同作業で、仙台・宮城の市民活動200を調査・紹介した「センダード・マップ」を発行した。
「NPOなんて言葉のない頃。市民活動という言葉もあまり使われてなかった。こうした本は、日本で最初でした」(加藤さん)
 自ら市民活動に携わりつつ、支援も同時に行っていたのがこの時期。薬害AIDS訴訟の支援などに関わり「札付き、怖がられの活動家」(加藤さん)だったという。
 93年ごろから「地域を支援する組織が必要だ」「日本の法制度も変えていく必要がある」と考え、センターの設立を構想。同じような考えをもつ人々に声をかけ、連携を深めていく中で、「せんだい・みやぎNPOセンター」の原型が出来上がっていった。

 現在、「せんだい・みやぎNPOセンター」では、NPOを直接的に支援するほか、行政のNPO関連事業の支援・コンサルティング、そして企業を街づくりに巻き込む活動を行っている。
「センターの構想が始まった90年代半ばは、NPOに関する行政の認知はまったくなかった。この15年でずいぶん変わりました」(加藤さん)
 「せんだい・みやぎNPOセンター」では、かつては「NPO? 何それ?」と冷たくあしらわれていた行政から、今では仙台市市民活動サポートセンターなど、4施設の指定管理・委託を受注しているのだ!
「『中間支援組織』という言葉はわかりにくい。要するに、現実に汗を流して社会変革に取り組んでいるけど、お金や支援が集まりにくい人たちを応援したいんです。こういう凄い人たちがいますよ、と世の中にプッシュしていく。それがウチの仕事です」(加藤さん)

 かつては市民活動家として、行政と対立する機会の多かった加藤さんだが、ここ10年は公務員の研修を依頼され、日本全国を飛び回る日々が続いている。
「私は変わっていないんです。筋を曲げる気もありません。世の中が変わったんですね」
 それでも今なお、公務員の8割は、ボランティアはお金と暇のある人がやることで、自分とは関係ないと思っている...と加藤さんは言う。
「だから私が研修をやると効果がある。日本国憲法25条(「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」)を知っていますか、と尋ねて、答えられる人はほとんどいない。それが公務員の仕事を規定することを知らないんですね。冬にホームレスが路上で凍死するのは仕方がないという人もいる。それは違う、公務員の職務として、憲法に反する事態が起きていると感じなければならない。憲法に書いてあることを実現するために、あなたたちは国民に雇われているんですよ、と伝えているんです」

*中間支援組織とは...NPOに対する様々な支援を行うための組織。各地で「NPOセンター」「NPOサポートセンター」といった呼び名で設置されていることが多い。言葉が厳密に定義されているわけではないが、一般的な認識としては、①資源(人、物資、資金、情報)の仲介、②NPO同士のネットワーク促進、③自治体への提言や調査研究など...を担う組織とされる。興味のある方はこのサイトを参照されたい。
「中間支援組織、という言い方はよくわからないでしょう? 私も自分でそう呼ぶことはないんです。私は『地域課題の解決のため、直接自分がやるよりも効果的な、NPOの活動支援を行う』組織だと考えています」
「日本では行政の設置する中間支援組織って、誰でも使える印刷機が置いてあるとか、チラシを置くラックがあるとか、いわば公民館みたいな場所のことが多いんです。ウチはそういうのと一緒にされたくない(笑)。たとえばアメリカでは、お金を集めて配るインターミディアリー、情報を集めたり統計を取ったりするインフラストラクチャー・オーガナイゼイション、マネジメント支援やコンサルティングをするサポートセンターなど、それぞれ専門によって分化していますが、日本の『中間支援組織』は、まだそれが全部ごっちゃになっちゃってるか、行政施設なんです」(加藤さん)

(取材日 2009年12月9日 宮城県仙台市)

(2010年6月 7日 00:00)
From CANPAN NEWS
東北地方太平洋沖地震支援基金

CANPANプロジェクト

日本財団

CANPANレポート