子どもたちの「助け合い精神」が強い学校【多文化共生センター】

子どもたちの教育について語る青木氏「多文化共生センター東京」は、JR三河島駅前で、アジア各地やブラジルなどから来日した子どもたちのために、フリースクールを運営している。教室には助け合い精神が満ち、皆が支え合いながら授業が進められて行く。

多文化共生センター」は、95年の阪神・淡路大震災で外国人被災者を支援することをきっかけに誕生した。現在では各地の拠点がそれぞれ連携しながら独立したNPO法人となり、日本に暮らす外国人たちのために、様々な活動を行っている。
JR三河島駅前の、小学校跡の建物に入居している「多文化共生センター東京」は、01年に活動がスタート、06年にNPO法人として独立。活動の中心は、外国からやってきた子どもたちのためのフリースクールだ。
「およそ半数が中国、3割がフィリピン。残りはミャンマー、それからブラジル。東京はアジア系が多いのが特徴です」(事務局・青木智弘さん)
フリースクールは二部制で、昼の部は16歳以上、夜の部は中学生が多く通う。大きな目標は、日本の高校への進学だ。
「みんな、びっくりするほど助け合い精神が強いんです」(青木さん)

 教室の中は、一見、私語が多いように見える。だが、それは子どもたちや先生が支え合い、意見を交換しながら授業を進めていることの裏返しだ。
「生徒たちの助けを借りながら、授業は進められていきます。先生もスタッフも本当に助かっています」(青木さん)
 子どもたちの多くは、フリースクールにしか友人がいないという。それだけ、結束力も高まるのだろう。
 来日する外国人が爆発的に増えたのは、90年の入管法改正以降。それから20年を経た現在も、外国人の子どもたちへの教育システムは、整備されていない。日本の社会制度は、日本語での教育が前提となっており、外国人への配慮は圧倒的に足りないのだ。
「たとえば、北京や上海の子どもたちは英語や数学の知識は高い。でも入試では日本語で聞かれますから、わかっていても力を出せないことが多い」(青木さん)

 センターで教えるのは、都立高の入試で必要な日本語、数学、英語の3科目。ただ、学力だけを向上させればいいのかといえば、そういうわけでもない。面接試験も、また大きなハードルだ。単なる「文化の違い」が、「やる気のなさ」にとられてしまう。
「日本人の中学生なら、誰でも制服で行くでしょう。でも彼らは、普通にユニクロのフリースとか、ジャージで出かけてしまう。ノックしてから入るということも知らない。最近のニュースで関心を持ったことは、と尋ねられ『興味ない』『関心ありません』と言ったりする...」(青木さん)
 また出身地によって、子どもたちの学習に対する考え方も違ってくる。中国や韓国、儒教文化圏の子どもたちは、学校で一生懸命勉強するのは当たり前、親たちもそう考える。ところが、タイやミャンマー、フィリピン、ブラジルの子どもは「何でそんなに勉強するの?」と不思議がる...。

 出身国もさまざま、背景となる文化も大きく違う子どもたち。しかし、共通しているのは、みな秋葉原が好き、歌が好き(「ジャニーズ、エグザイル、アニメ...」(青木さん)、そして「イベントに飢えている」こと。
「去年のクリスマスパーティは、友達が友達を呼ぶといった格好で、150人くらいが集まりました(笑)。3月には『多文化ユースフェスタ』、そして8月には盆踊り。子どもたちは喜ぶし、そこから親、地域へとコミュニティの輪が広がっていきます」(青木さん)
 今後の課題は「初期にスクールに通っていた子どもたちがそろそろ就職の時期を迎えるので、その支援を行っていくこと」と、青木さんは語る。センターの取り組みは順調に進んでいるように思える。
「それでも、日本ではやっていけない...と、親だけを残して本国に帰ってしまう子どもたちもいるんです。やっぱり、これはショックですよね...」

(取材日 2010年2月26日 東京 西日暮里)
(2010年5月11日 00:00)
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