企業がNPOに寄付をするということとは?【ウィルシード】

 
企業のあり方について語るウィルシード社長船橋氏
 市民活動と企業の寄付のあり方が変わってきている。
 
CANPANが主催した2008年の12月に寄付先を募集してスタートした「市民活動と企業の寄付のあり方を探る」モデルプロジェクト。環境関係の28団体の中から2つの団体が寄付先として選ばれた。

 企業からの寄付をうけてから一年が経ち、その後どう変わったのか。
 

今回寄付をした企業 株式会社ウィル・シードの代表取締役社長 船橋力さん。
1970年6月横浜市生まれ。幼少時代をアルゼンチンやブラジルなどで過ごす。上智大学経済学部経営学科卒業後、伊藤忠商事株式会社入社。インフラプロジェクト部でインドネシアのジャカルタ地下鉄推進プロジェクトなどを手がける。2000年式会社ウィル・シード設立 現在に至る。

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「教育を通じてよりよい世の中に」という独自の視点での社員教育、学校教育などを行う。株式会社ウィル・シードの申し出によって、昨年の暮れに始まった「市民活動と企業の寄付のあり方を探る」モデルプロジェクト。開始から一年余りが経った現在、寄付金が贈呈された2つの団体がどのように変化をしたのかを取材し、株式会社ウィル・シードの社長、船橋力さんに報告した。

 1年前の船橋さんからの申し出とは、以下のようなものであった。

「私たちは教育関係の会社なので、どうしても紙をたくさん使って環境に負荷をかけています。その免罪符というわけではありませんが、環境関係の活動をしている団体様に支援をしたいと思っているのです。」(船橋さん)

 金額は80万円、寄付先の条件は「環境系の活動をしている団体」「信頼できる情報発信ができている団体」の2つ。

「私の会社は教育ビジネスとうことで、教材などにたくさんの紙を使うんです。でも教育によって世の中を良くしましょうって言っているのに、実際はエコにできない部分があって、そうした部分に対してちゃんと責任を果たしたかったのです。」(船橋さん)

 わずか1週間の応募期間にも関わらず、なんと28団体からの応募があり、その中から宮城県の「仙台市森林アドバイザーの会」と宮崎県の「子どもの森」の2団体が選ばれた。

「最後の3、4団体くらまでに絞り込んで、そこから最終的に1つの団体を選ぼうとしたときに、どうしてもこの2つが気になったんです。そこでCANPANさんに相談をしたところ、『40万円でもNPOにとっては十分価値のある金額である』というアドバイスをいただいたので、2つの団体に40万円ずつ寄付をするということにさせていただきました。この2つの団体を選んだのには、『まだ完成されたNPOではない』ということ。そしてどちらも『環境教育ではなく純粋に環境をよくしようという試みをしている体だった』という理由があげられます。」(船橋さん)

 
(宮城県)仙台市森林アドバイザーの会

代表者氏名 坂井孝次郎
宮城県仙台市青葉区一番町4丁目1番3号 仙台市市民活動サポートセンター内

仙台市が主催する「森林アドバイザー養成講座」の修了生により2004年に結成。

「荒れた人工林や放置林の間伐を実施して森の元気を取り戻したい」
「水源涵養や土砂流出防止のため、間伐を実施し林の中に光を入れ『木』と『林床』の健康を取り戻したい」
「健康な森から市民のみんなが元気を貰えるように森林づくり活動を続けていきたい」
という想いから、健全な森づくりを行っている。

■寄付金の使途

刈払機4万4000円×3     13万2000円
業務用チェーンソー       7万6000円
プラロック×2         5万8000円
プラロック用滑車×2        9600円
高枝ノコギリ          1万5800円
ロープ               6800円
消費税             1万4910円
計         31万3110円

※残りは交通費、機材運搬費などにあてている。

 
(宮崎県)特定非営利活動法人  子どもの森  

代表者氏名 横山謙一 
宮崎県東臼杵郡門川町城ヶ丘2-2 

横山氏の地元、宮崎県東臼杵郡門川町の環境悪化を危惧し、「少しでも子どもたちの体験の場を与えるために自然を守っていかなければ」という想いから平成15年に設立。
活動は植樹と手入れなどの「森作り」と、子どもたちへ自然に触れる場を提供する「環境プログラム」の二本立てで行われている。
「森の学舎(まなびや)」は子どもたちが自由に遊べる場所になっている。

■寄付金の使途

森の学舎 土地借用代(昨年度)  11万4000円
浄化槽修繕費           10万円
森の学舎 土地借用代(本年度)  11万4000円
計                32万8000円

※残りは来年度の森の学舎の土地借用代、電気代にあてられる。

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 ウィル・シードから支援を受けたこの2つの団体は、主に寄付金をインフラ整備に使用。
そのことで活動の効率性も上がり、さらに情報開示も進んだ。
今では情報開示度が5つ星になりCANPAN内のモデル団体としても注目されている。
 
 
「寄付した少ないお金が具体的にこういう風に工夫してつかわれたんだ・・・とかこんなところで苦労しているんだとかこの40万円が次に繋がればいいなとか、実際に団体を見て報告していただいたことでそんな風にイメージができましたね。寄付した側からすると凄く嬉しいです。」(船橋氏)

 また「寄付」という形で市民活動を支援することの意義を、船橋さんはこのように語ってくれた。

「キーワードは"循環"だと思うんです。みなさんが頑張って工夫してお金をつかってくれたことを聞いて僕もとても嬉しいし、こういうことに関われたことが嬉しかったという話をすることで、他の企業も僕の考えに賛同してくれるかもしれない。
寄付でもいいしCSRでもいい。そんな活動が市民団体や企業の間で循環していったらいいなと思いますね。今、CSRに関する考え方はどんどん進んでいますから、NPOや市民活動をされているみなさんは活動を続けて踏ん張っていれば、絶対いい方向に進むと思います。ブログなどをどんどん使って頑張って情報を発信し続けて欲しいです。これからに期待したいですね。」(船橋さん)

 企業のCSRの一環として「寄付」という形で企業が市民活動と繋がることを実践して見せた株式会社ウィル・シード。今後も寄付やまたそれ以外の形で、市民活動との繋がりを考えているようだ。

 
(取材日2009年12月10日 東京恵比寿)
(2010年5月 6日 00:00)
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