不要になった古本を送って世界遺産のオーナーに?【白神山地を守る会】

白神山地を守る会1993年に世界遺産に登録された、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる白神山地。この白神山地のブナの森を復元させる活動を行うNPO法人「白神山地を守る会」では、白神山地のブナの森のオーナーを募集している。
 
 オーナーになる方法は不要になった古本を5冊以上送るだけ。それだけで白神山地のブナの森の復元・再生活動に協力した"オーナー"として、白神自然学校内に設置された「オーナーボード」に名前が記入され、ブナの植樹祭の際には招待状が送付されるという。
 
 集まった古本は春と秋に開催される「青い森祭り」の古本祭りで販売され、その収益はブナの森の復元の為の道具や苗床管理の費用にあてられる。「白神山地を守る会」では、ブナの種を拾い、苗床を作って育成し、ブナが少ない緩衝地帯の森へ戻す作業を行っている。そんな努力の甲斐あってか、2009年度の入山者は延べ前年比7000人増の約6万人と、2007年度以来2年ぶりに増加した。
 
 白神山地は、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる13万ヘクタールに及ぶ広大な山地帯の総称。このうち原生的なブナ林で占められている区域、1万6971ヘクタールが1993年12月に世界遺産として登録された。

「白神山地はブナの森ですから、このブナの森を再生しなければならない。でもブナの苗木を育てるのがまた一苦労なんです」(白神山地を守る会理事 上明戸(かみあきと)正一さん)
 
 7年~8年おきにしか実をつけないブナの種を拾い集め、苗床で苗木になるまで4年~5年間育てる。そして春に芽が出たらら、"稚樹"と呼ばれるその苗を、一本一本ポットへ植え替え、そして秋に葉が落ちるたら掘り起こし、縦ではなく斜めに植え替える。斜めにする理由は、雪に押しつぶされても折れないため。そしてまた春になると縦方向に植え替える。この繰り返しを4~5年続け、そうした後、ようやく苗木は山へ戻されるのだ。
 
「最近の気候変動は、私たちでもはっきり感じることができる。私たちは快適な暮らしを求めて、石油を無尽蔵に使ってしまった。その化石燃料が地球温暖化現象を招いてしまったことに罪悪感があるんです。自然はこの温暖化の元凶と言われる二酸化炭素を吸収してくれます。唯一今自分にできる事は、この森林、緑を守ること。ですから、緑を増やす取り組みを、この自然豊かな白神山地でやろうとこの活動が始まったんです」(上明戸さん)
 
 苗木が育つのに4~5年。しかしこのプロジェクトの結果が出るのは何十年、いや百年先かもしれない。

「百年、何百年っていう、長い年月をかけていかないと結果が出てきません。私たちよく"失うのは一時だけど、育てるのは何百年"と言うんです。だから木は簡単に切っちゃいけないんです。その気持ちが白神の緑を守る根源です」
 
白神山地を守る会」が見すえる先にあるものは、子供たち、孫たちの安心できる暮らしなのである。

(取材日2009年8月25日 青森県弘前市)

 

(2010年4月 8日 00:00)
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