北の馬文化「ばんえい競馬」が再び存続の危機に【とかち馬文化を支える会】

 

とかち馬文化を支える会競走馬が荷物を載せたソリを引きながら力と速さを競う、北海道の帯広競馬場のみで行われている地方競馬の「ばんえい競馬」が、2010年を迎えた今、再び存続の危機に瀕している。

 2006年度までは帯広競馬場のほか、北見、岩見沢、旭川の4つの競馬場で開催されていたものの、累積赤字の増大から帯広市以外の3市が撤退を表明。帯広市も単独開催の継続は難しいとして、ばんえい競馬は廃止寸前の危機にあった。

 しかしその年の12月13日、ファンからの要望により「ソフトバンク子会社のソフトバンク・プレイヤーズが、帯広市単独開催の支援を表明。帯広市での単独開催の継続が決定された。

 それから3年が経った現在の累積赤字は1億2400万円。この結果を受け、ばんえい競馬が地域にとって本当に必要なのかを検証する「2010ばんえいフォーラム~ばんえい十勝は本当に必要か」が3月22日に開催された。

  ばんえい競馬を開催する「ばんえい十勝」は2009年10月から単勝式、複勝式、連勝複式、枠番連勝複式、連勝単式の5つの買い方に加え、上限2億円の五重勝式を導入。ばんえい競馬人気の盛り返しを図っていた。

 「この不況も向かい風になって、売り上げがなかなか伸びないが現状です。血税をつぎ込んでまで開催する必要があるのかという意見も出てきますから難しい状況ですね」ばんえい競馬の開催を支援するNPO法人「とかち馬文化を支える会」理事の旋風丸巴さんは、そう語ってくれた。

 一方でばんえい競馬が十勝地方に与える経済波及効果は、年間65億円8500万円(07年度)という耕野拓一帯畜大准教授からの発表など、賛成派の意見を後押しする声も多い。

「帯広ではごく少数ながら"ばんえい競馬なんか廃止してしまえ"という人もいます。圧倒的多数は"ばんえい、あった方がいいんじゃない"という人たちだと私は認識しています。でも廃止論者が大声で叫び、それをマスコミが取上げると、あたかも"ばんえい廃止の声が高まっている"ように見えてしまいます」(旋風丸理事)

 ばんえい競馬を市民の立場から支援するNPO法人「とかち馬文化を支える会」では、ばんえい競馬をはじめ、とかちの馬文化の啓蒙活動を行うために活動を行っている。

 サラブレットよりもはるかに大きな農耕馬である「どさんこ」を小学校に釣れて行き、子供たちと触れ合わせる「馬の出前授業」、年配の方たちに当時の馬を使った農耕、運搬などの様子を後世に伝えるための「馬文化新聞」の発行などその活動は多岐に渡る。

 また障害者に乗馬療法「ホースセラピー」を体験してもらったり、福祉施設の入所たちに、お土産として販売される馬の蹄鉄を磨いてもらって対価を支払うなど、地域との福祉的な連携も行っているという。

 「馬って触るととても温かいんです、人間よりも大きい動物で、人間よりも体温の高い動物ってあまりいない。また馬に乗ったときの温かさには、セラピー効果があると言われているんです。これを知的障害や身体障害の方たちの、心の治療の一環に役に立てば、ということで実施しています」(旋風丸理事)

 またばんえい十勝は、実際にレースを走る"ばん馬"を共同所有することでばんえい競馬をより身近に感じてもらうため、今年2月から1口ファンド(1口1500円100口から)を実施。ばんえい競馬人気の起爆剤となることが期待されている。

「ばんえい競馬って結局ギャンブルじゃないか? もちろんそう言う方もいます。でも、私たちのキャッチフレーズは『ばんえいなくして馬文化なし、馬文化なくしてばんえいなし』。ばんえい競馬は間違いなく十勝の馬文化のひとつなんです。これは絶対に残していかなければならないと思っています」(旋風丸理事)

「とかち馬文化を支える会」をはじめとする地元市民の支えがあって、ようやく存在を維持しているばんえい競馬。誰もが文化として認識し、なおかつ純粋なるエンターテイメントとしてファンの心を掴んだとき、「安定開催」は現実のものとなるのであろう。

(取材日2009年7月27日 北海道帯広市)

(2010年4月15日 00:00)
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