津軽平野に蒸気機関車を走らせるその日まで【五能線活性化倶楽部】

 
五能線活性化倶楽部


世界遺産である白神山地や歴史と文化の薫る津軽平野など、日本海に沿った美しい車窓が楽しめるローカル線として、鉄道マニアの中でも人気の高い五能線。この五能線に昔懐かしい蒸気機関車を復活させることを夢見るNPOがある。その名もずばり「五能線活性化倶楽部」。

2006年には実際に茨城県の日立市かみね公園に保管されていた蒸気機関車SL8620型を解体撤去寸前のところに譲渡を申し入れ、西津軽郡深浦町の観光施設ウェスパ椿山に移設。現在は清掃、整備などを繰り返しながら、煙をあげて日本海岸を走るその日を、五能線活性化倶楽部の会員みんなで待ちわびている状態だ。

「日立の鉄道マニアから"引き取ってくれないか"というメールをいただいたんです。そこから3ヶ月で日立市と交渉をして無料で引き取ることになりました。だから助成金を申請する時間もありませんでした。だから自己資金、借金ですよ。でもそうしなかったら今頃は鉄くずになっているはずです」そう語るのは理事の津島さとるさん。

機関車が蒸気からディーゼルに変わった時代、日本全国のいくつかの市町村は子どもたちのために蒸気機関車を譲り受けた。しかし、しっかりとした管理は施されず、段々と朽ち果ててしまった機関車は、最終的には廃棄されることとなる。日立市のSL8620型もそのケースだ。

 しかし茨城県の真岡鉄道、埼玉県の秩父鉄道、そしてJR東日本など全国で何台かのSLが復活し、その懐かしい姿を全国の鉄道ファンに披露している。

「熊本の人吉でも復活しましたが、観光客が増えるなど経済効果がかなりあったらしいです。でもSLが復活したとこで五能線のように海岸沿いずっと走る路線はない。ここにSLが走ったら最高だと思いますよ」

 日立市から引き取られたSL8620型は、現在ウェスパ椿山においてメンテナンス中。しかし五能線の線路上に復活する日はもう少し先のことだという。

「お金があれば走らせられるんだけどね。寄付は募ってるけど、なかなか集まらない」

そう語るのは同じく理事の小島重一さん。実際に走行させるためには2億円もの資金が必要だとのこと。五能線活性化倶楽部は現在、ミニSLの運行イベントや寄付金などで資金を貯めつつ、いつか来るその日に向けての準備を継続中だ。

「今の子どもたちは石炭自体を見たことがない。匂いを嗅いだら"くさいくさい"って逃げちゃいますよ(笑)。でもミニSLに乗れば、石炭に火をつけて走っているところを見ることができる。電気じゃなくて石炭と蒸気で列車が動く。それを見ると子どもたちは感動するんです。新幹線も元を辿れば蒸気機関車なんだよってことを教えてあげたい」

全国の鉄道ファンの夢を一心に背負った彼らの壮大な夢。その実現を応援したい。

 

(取材日2009年8月27日 青森県弘前市)

(2010年4月 9日 00:00)
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