「めざせJリーグ!」を合言葉に、秋田を盛り上げていきたい【あきたスポーツネットワーク】

あきたスポーツネットワークのサムネール画像 昨年10月、秋田市にNPO法人「あきたスポーツネットワーク」発足。サッカー後進県である秋田で、Jリーグに参加できる強豪プロサッカーチームを育てようという、壮大なプロジェクトがスタートした。

  地域おこしの有力ツールとして、定番となっているプロサッカー。日本全国で、本気でJをめざしているチームは60とも70ともいわれている。これまでサッカー後進県で、野球やバスケットの人気が高かった秋田にも、そんな動きが出てきた。JFLの「ブラウブリッツ秋田」(にかほ市)、そして秋田市の「FC秋田カンビアーレ」(東北社会人リーグ一部)である。

 09年10月30日に設立されたNPO法人「あきたスポーツネットワーク」(略称・アスネット)」は、カンビアーレの運営母体。堀井郁夫理事長(45)は「全国から見れば秋田は遅れている。湘南ベルマーレを手本として、NPO法人のメリットを生かしながら、Jリーグに向けての環境づくりをしていきたい」と語る。今シーズンは、JFLで親会社から独立、新たにクラブチームとしてスタートを切ったブラウブリッツ秋田と全面的にタッグを組み、「全秋田パワー」でJに向けて新たな一歩を踏み出す。

 「秋田は、サッカーにとって、決して恵まれた環境とはいえない県です」

 NPO法人「あきたスポーツネットワーク」(略称・アスネット)」の堀井郁夫理事長(45)は語る。

 もともと秋田は野球どころとして有名。過去にも阪急のエース・山田久志や、史上最強打者の呼び声も高い落合博満ら、名選手を輩出している。また、能代工業で名高いバスケットボールも人気が高く、今年からbjリーグに「秋田ノーザンハピネッツ」が参戦する。能代工卒業生の田臥勇太は日本人初のNBAプレイヤーとなった。

 「そんな土地でなぜサッカーか。好きだから、としか言いようがないですね」

 堀井理事長は、小学生でサッカーを始め、秋田商業で全国ベスト16を経験。卒業後は救急車に乗り、救急救命士として日夜働く傍ら母校のコーチを勤めてきた。

「Jリーグというハードルは高いけれど、その分楽しいんじゃないか、やってみる価値はあるんじゃないか、と」

 チーム運営にもいろいろな選択肢がある中で、「NPO」という形をとったのは?

「何といっても、税制上のメリットが大きいですね。また、NPO、市民活動ということで、理解や協力も得やすい。短期的な目標はJリーグですが、もっと長期的には、サッカーだけでなく、さまざまなスポーツを通じて、秋田を元気にしていきたいという壮大な目標があるんです」

 「たとえば組織は湘南ベルマーレをお手本にしたいと思っているし、ガンバ大阪の育成システムも見習いたい。NPO法人ならではのメリットを生かしながら、それぞれ『いいとこどり』でカンビアーレを育てていきたい」

「とはいうものの、現実的に上を目指していくには、強化が欠かせません。秋田の選手はもちろん、大卒の即戦力も欲しいし、できれば現役Jリーガーも欲しい。そうした選手を受け入れていくためには、資金的にも体制を整える必要があります。NPOはそのための有力な手段。会員になりたい、という申し出もどんどん増えてきています」

 堀井理事長の考える「社会貢献」とはどんなものだろう。

「一体感、協調性。我々のような組織は、反感を持たれたら前に進むことができなくなりますから。これはチームやNPOの組織作りにも、ダイレクトに繋がる話だと思います」

「カンビアーレの選手たちには、一体感をもってほしい。それがだんだん大きくなって、秋田全体のサッカーの『輪』になっていく。それが理想ですね。もちろんそれだけではダメで、どんどん勝って上のカテゴリーに上がっていかなきゃいけないですけど。でも長年このチームに関わってきて、皆さんの協力があって、やっとNPO法人までたどり着いた、本当に感慨深いものはあります、まだまだこれからではありますが」

「市民の皆さんからも『がんばってください』というメールがたくさん届いています。これは『輪』が広がっているという意味ではありがたいのですが、けっこうなプレッシャーにもなってますね(笑)」

  このインタビューを終えた後、アスネット=カンビアーレは、今シーズンからプロクラブとして活動を始める「ブラウブリッツ秋田」と全面的に「共闘」しながらJリーグを目指すことになった。ブラウブリッツは、去年まで「TDK」としてJFLでプレイしていたチームが母体。親会社が不況のため活動から手を引いたため、独立クラブとして新たなスタートを切ることが決まっていた。近隣地域にある両クラブが、別々にJを目指すより、力を合わせて少しでも早く「夢」を実現しようと、関係者が奔走。不況下に於いて、スポンサーを取り合う「生き残り競争」を避けることも大きな目的だった。実質的には、カンビアーレが、上部カテゴリーに所属するブラウブリッツのサテライト的な存在となり、「プロ予備軍」の養成を担当していく。

 「停滞する地方都市の起爆剤」として、Jリーグを目指すのは、いまや地域おこしの定番であり、目新しい振興策とは言えなくなってきている。しかし、あえて正攻法で、真正面から取り組もうというところに、秋田のまっすぐな県民性を感じた。

(取材日2009年9月10日 秋田県秋田市)

 

(2010年4月 6日 00:00)
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